第1069回
カードローンの利用経験があると他の借り入れに影響がある?
- 現在幼稚園に通っている子供が小学校に入学する来年までに、マイホームを購入しようと考えています。マイホームを購入するには住宅ローンを活用する必要がありますが、実は以前、カードローンを利用したことがあり、現在も利用し返済を続けています。カードローンの利用経験がある場合や、現在利用している場合、他の借り入れをする際に影響を受けることがあるのでしょうか。(茨城県 37歳 男性 会社員)
- 過去に利用したカードローンで遅滞なく返済をした場合は、その後の借り入れに影響を受けることはありません。ただし、現在利用中のカードローンがある場合は、適切に返済をしていても、他の借り入れをする時の借入金額に影響を与える場合があるため注意が必要です。新たな借り入れの予定がある時は、返済中のローンを完済しておくことが望ましいでしょう。
カードローンで返済の遅滞などがあった場合は、新たな借り入れに影響する可能性も!
過去に利用したカードローンで遅滞なく返済をした場合は、その後の新たな借り入れに影響を及ぼすことはありません。しかし、返済の遅滞があった場合や、複数回あるいは長期に渡り返済が滞って、保証会社が借入金を一括で立て替え返済する代位弁済が行われた場合、支払えなくなった債務を個人再生や破産などの方法で処理する債務整理をした場合などは、その後、新たな借り入れをする時の審査に影響を与え、借り入れができないことがあります。
カードローンに限らず、金融機関から借り入れをすると、氏名、住所、契約内容、返済状況などの情報が信用情報機関に数年間登録されます。遅滞や代位弁済などの情報は契約終了後も最長5年間登録されます。国内には、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センターの3つの信用情報機関があり、銀行や消費者金融、クレジットカード会社などの金融機関は、これらのうち最低1つに加盟しています。各信用情報機関に登録された個人の信用情報は相互に共有する仕組みがあり、金融機関は、審査をする時に登録された情報を照会します。
過去に利用したローンで返済の遅滞などの履歴があると、滞納が解消された後でも、新たな借り入れをする時の金融機関の審査の結果次第では、借り入れができない場合があります。なお、融資の審査は、それぞれの金融機関が独自の基準で実施するため、信用情報機関に遅滞などの履歴があった場合でも、必ず借り入れができないという訳ではありません。
返済中のローンがあると、他のローンの借入金額に影響を及ぼすことがある!
返済中のローンがある場合は、新たに借り入れをするときの借入金額に影響を及ぼすことがあります。
カードローンの返済中に、別のカードローンを利用しようとすると、借入金額に制限を受けることがあります。消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などの貸金業者からの借入金額は、年収の3分の1までという総量規制が設けられています。これは、貸金業法に定められたルールですが、貸金業法が適用されない銀行なども過剰な貸付を防ぐ目的で同様の自主規制を行っています。
そのため、たとえば、年収450万円の方の収入の3分の1は150万円になるため、A社から既に100万円借りていると、B社からは50万円までしか借りることができません。
カードローンやキャッシング以外の住宅ローンや自動車ローン、教育ローンなどを利用する場合は、総量規制や自主規制の対象にはなりません。しかし、金融機関は、融資の審査をするときに、利用中の他のローンの残高や返済額などを確認します。そして、各金融機関が独自に設定している返済負担率(年収に対する年間返済額の合計の割合)を超える金額を借りることはできません。
例:現在返済中のローンがある人が、新規のローンを利用する場合の借入可能額
◯新規借入をしようとしている人の現状
- 年収600万円
- 現在返済中のローンの年間返済額:90万円
◯新規借入をする予定の金融機関の返済負担率:35%まで
- 返済負担率35%に相当する金額:210万円(=年収600万円×35%)
- 借り入れできる金額の年間返済額の上限:120万円(=210万円-90万円)
◯新規借入の条件
- 金利:3.0%/返済期間:15年/元利均等返済/毎月返済
借入可能額:1,448万円
金融機関の審査では、「その人が継続的、安定的に返済をする能力があるか?」を確認されます。過去に返済のトラブルがあった人や、現在返済中のローンがある人は、借り入れ自体が難しくなったり、借入金額に制約が加わる可能性があることに注意しましょう。
カードローンは、無担保、保証人なし、資金使途は原則自由、契約限度額の範囲内であれば何度でも利用可能であるため、手軽にお金を借りることができます。ただし、借りた後は、必ずルールに従って返済し、決して遅滞しないようにしましょう。また、他のローンを利用する前までに、完済するようにしましょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。
教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。
※執筆日:2024年03月04日