第1058回
カードローンの取り立ては厳しい?
- 旅行費用の不足分のためにカードローンを一時的に利用しようと思っています。ただ、万一、返済が遅れてしまうと取り立てが厳しいのではと心配です。実際、取り立てはあるのでしょうか?(埼玉県 Sさん)
- カードローンに限りませんが、金融機関、ローン会社などから借りたお金を返済できなくなった場合、法律に則った方法で返済に向けてさまざまな手続きが行われます。イメージされるような厳しい取り立ては、貸金業法で規制されています。しかし、だからといって安心していいわけではありません。無理のない返済計画でのカードローンの利用を心がけてください。
返済不能になったら本当に厳しい取り立てがあるのか?
金融機関やカードローン会社などからお金を借りて返済が滞ると、厳しい取り立てがあると思われている人は少なくありません。日本貸金業協会が借入経験のある人に貸金業者に対して抱いているイメージを調査したところ、「そう思う」、「ややそう思う」と回答した割合の合計は、「借入や返済がしやすい」が42.6%と最も高い一方、「取り立てが厳しい」と回答した割合の合計も35.1%と高く、ネガティブな印象を抱いていることがわかりました。
2010年に改正貸金業法が施行され、貸金業者として登録している会社なら、厳しい取り立てが行われることはありません。いわゆる借金取りに追い詰められるイメージは映画やドラマで定着してしまっていますが、それは違法業者であったり、貸金業法が制定される以前の話。現在では法律で取り立て行為は規制されており、実際には法律に則った方法で債務者に対して返済を働きかけることになっています。
改正貸金業法第二十一条には、下記のように取り立て規制の条文が記載されています。
具体的には10項目ありますが、主なものとして、以下のような規制があります。
- 午後9時から翌朝8時までの時間帯に、債務者に電話をかけたり、自宅を訪問してはいけない
- 正当な理由がないのに、債務者の勤務先に電話をしたり、訪問してはいけない
- 債務者の借り入れやプライバシーに関することを他人に知らせてはいけない
- 債務者に他から借りて返済させようとしてはいけない
- 債務者、連帯保証人以外の家族や親族などに弁済を要求してはいけない
- 弁護士や司法書士、または裁判所を通じて債務整理の手続きを進めていると通知を受けたあと、債務者に電話や訪問などにより弁済を要求してはいけない
(※条文をわかりやすく記述しています。詳細は貸金業法で確認してください)
一番心配になるのは、勤務先に連絡され、借金のことがわかってしまうことや、親、兄弟姉妹にまで取り立てが行くのではないか、といったことですが、貸金業法でしっかりと規制されていますので、その点は過剰に心配することはありません。
返済不能になった場合も、手続きには順番がある
しかしながら、返済を滞納すれば、当然、返済の請求や状況確認などの連絡がきます。適正な時間帯での訪問、面談、返済計画の確認などが行われるケースもありますので、しっかりとした対応をしなければなりません。連絡には必ず返信、誠実な対応をすることが最も大事です。
一般的に、約定日に返済できなくても、遅れて返済できる場合は、そこで請求や督促は終わります。しかし、その返済すらもできないとなると、次に「内容証明郵便」が届きます。内容証明には返済期日が記載されており、その日までに払えない場合は、法的な手続きに移行することが示されています。この段階でも返済が不能となると、最終的には訴訟となることもあり得ます。
借入金額の程度にもよりますが、返済不能かどうかは借り入れした本人が自覚していることです。問題解決を先延ばしにすればするほど、事態は深刻になっていきます。返済期日の延期では対応できない場合は、早い段階で債務整理を選択し、手続きを進めていくほうが傷は浅くすむかもしれません。
万一の際は、弁護士、司法書士に速やかに相談すること
債務整理にあたっては、弁護士や司法書士に速やかに相談し、どのような方法があるのか確認しながら、手続きをすすめてもらうことです。自己破産とまではならずとも、債務整理では複数のカードローンがあれば1本化し、無理のない返済スケジュールに変更するなど、前向きに完済できる方策を取ることができるでしょう。
いずれにせよ、1回の返済滞納でも請求や督促はあります。それだけでも大きな精神的な苦痛を感じることになるでしょう。借り入れをする際は、毎月いくらなら無理なく返せるのかということを念頭において申し込みをするようにしましょう。比較的、借り入れしやすいカードローンですが、繰り返し利用することで思いがけない金額に膨れ上がることもあります。返済計画をしっかり立て、返済期日を守ること。忘れないようにしてください。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。
大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。
※執筆日:2023年12月18日