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第344回

多重債務に陥らないための自己管理のポイントは?

今年は、夏に続き冬のボーナスも大幅減となり、年末年始を乗り切るためにカードローンやキャッシングの利用を考えています。ただ、はじめてのことなので、借りる前にどんなことに気をつけたらいいかよくわかりません。また、「多重債務に陥らないか」という不安もあります・・・。
カードローンやキャッシングに対する恐怖や不安を払しょくする最も効果的な方法は、借りる前に正しい知識をしっかり身につけること。借金は「借りておしまい」ではありません。目的、金額、金利だけでなく、返済のことまでをちゃんと考えて、少しでも有利な金融機関や商品を選びたいものです。また、日頃から家計をうまく管理しておくことも大切です。

法律や規制以上に大切なのは自己管理

多重債務者問題の解決等を目的として「改正貸金業法」が成立し、2010年6月までに、貸出額を利用者の年収の3分の1以下に抑える「総量規制」が導入され、貸し出しの上限金利は現在の29.2%から20.0%へ引き下げられる予定です。(詳細は下記を参照してください)

しかし、完全施行を間近に控え、これらの規制の見直しの是非が議論されるようです。理由は、昨年来の景気の悪化。借り入れが制限される人たちの資金繰りが厳しさを増し、経済に悪影響を及ぼしかねないとの懸念が寄せられているためです。結果がどうなるかは現時点で流動的ですが、いずれにしても、これらは貸し出しをする業者に対する規制です。賢く借り入れを行うには、返済負担を負う利用者自身が正しい知識や習慣を身につけ、自分の責任で生活や家計の管理・運営をすることが欠かせません。

必要なお金の性格によって、ローンかその他の方法で解決するか決める。

まずは、「何のための借り入れか?」「借り入れが必要になった理由は何か? 収入減か? それとも支出増か?」などをはっきりさせましょう。

たとえば、借りるお金が、毎月の生活費を補てんするためのものか、それとも、どうしても必要な一時的な支出のためなのかでは、お金の性格が異なります。生活費のように継続的なお金の補てんに借金を使うのは大きなリスクを伴います。できれば借り入れに頼るのではなく、生活を見直し、毎月の支出を収入の範囲内に切り詰める工夫をしたほうがいいでしょう。
また、借り入れの原因が収入減の場合も、それがボーナスなのか、給料なのかによって、対応は異なります。ボーナスの減少による借り入れは、一時的であることが多いでしょう。逆に給料の減少による借り入れは、慢性化する可能性が高いため、借り入れよりも生活費を削減するほうが適切です。

今年、ボーナスが大幅に減った方は、今後はボーナスに頼らない生活を心がけたほうがいいかもしれません。あらかじめ使い道を決めておくのではなく、支給額が決定してから使い道を考えるくらいにボーナスの位置づけを変えてはいかがでしょうか?

具体的に返済のメドを立ててから借りる。

家計の現状を把握する方法は家計簿をつけることですが、借り入れをするときは、将来の家計簿を作り、その中に収入の予定や返済の計画を盛り込んで、家計が破綻しないことを確認するようにしましょう。

  • 将来の家計簿作りは、生活設計を行うこと。
  • 生活設計をすることは、目標を持って暮らすこと。

目標を持って生活を送れば、その場しのぎの借り入れを繰り返して多重債務になってしまうような事態を防ぐことができます。返済計画や借入金額を決めるときには、下記のシミュレーション機能等を使うと便利です。

ローン商品を比較検討して有利なものを選ぶ

借入金額を決めたあとは、できるだけ有利にローンを組みたいものです。大きなポイントのひとつは、「返済期間のあいだに支払う利息をいかに少なくすることができるか」です。ローンの目的、金融機関、金利タイプ、金利、返済期間、返済方式などによって、同じ金額を借りる場合でも負担する利息額が異なります。いろいろな金融機関のローンを比較する中で、選ぶコツを把握することができるでしょう。

私が書きました

中村 宏 (なかむら ひろし)

ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。

教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。

※執筆日:2009年11月26日