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第337回

総量規制の例外となるローンとは?

貸金業法の改正で、年収の3分の1までしか借りられなくなると聞きました。以前、家族の急な入院で現金が足りなくなり、キャッシングで急場をしのいだことがあるのですが、そういう急で必要不可欠なお金を一時的に借りることもできなくなるのでしょうか。(Kさん 34歳 会社員)
「総量規制」には、例外とされる貸付があります。緊急の医療費のための貸付は、要件を満たせば、借入総額が年収の3分の1を超えていても例外的に認められます。

総量規制とは?

ご質問の「借入額の規制」は2006年12月に成立した「改正貸金業法」で決まった「総量規制」と呼ばれるもので、 債務者1人が借りられる金額に「年収の3分の1以下」という上限が設けられる規制です。 とはいえ、どんな借入も合わせて「年収の3分の1以下」としてしまうと、世の中の多くの人は住宅ローンなど組めなくなってしまいますし、 ご質問のような緊急な資金需要もあるので、総量規制には「例外」と「除外」が定められています。 今回は、総量規制の対象となるのはどんな貸付か、どんな「例外」「除外」の貸付があるのかを確認しておきましょう。

なお、貸付が受けられるかどうかは、金融会社ごとの審査基準によります。 総量規制の条件を満たしていても、総量規制の除外や例外となる貸付であっても、借りられない場合もあるので、ご注意ください。

総量規制の対象となる貸付

総量規制の対象となるのは貸金業法で規制される「貸金業者(消費者金融業者、カード会社等)」による「個人向けの貸付」です。 貸金業法の対象外である銀行等のカードローンなどは総量規制の対象とはなりません。


FPからのアドバイス第331回 総量規制の対象外、銀行のカードローン
イー・ローン キャッシング・カードローン(銀行・無担保)一覧

総量規制の適用が「除外」される貸付

総量規制には、適用が除外される貸付が定められています。
「除外」とされる貸付は、総量規制の対象とならず、総量規制の貸付残高には含まれません。 具体的には、住宅ローン(つなぎ融資を含む)や自動車ローンなどは、総量規制の貸付残高には含まれません(→表1)。

したがって、年収の何倍以上にもなる数千万円の住宅ローンを組んでいたとしても、法律上、年収の3分の1の範囲内であれば、 カードローンやキャッシングは利用可能ということになります。


表1:総量規制の適用除外
適用除外とされる貸付
・不動産の建設もしくは購入に必要な資金またはその改良に必要な資金の貸付
・上記のつなぎ資金の貸付
・自動車購入時の自動車担保貸付
・高額療養費のための貸付
・手形(融通手形を除く。)の割引を内容とする契約
・金融商品取引業者の行う有価証券を担保とした貸付に係る契約
・貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介に係る契約

(金融庁HP「貸金業の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令の概要」より)

総量規制の「例外」となる貸付

総量規制では、「個人顧客の利益の保護に支障を生じることがない契約」は例外とされています。 「例外」とされる貸付は、総量規制の貸付残高には含まれる(計算される)のですが、 貸付残高が3分の1を超えていても、要件を満たせば借入ができるというものです(→表2)。

たとえば、年収300万円で貸付残高がすでに100万円(年収の3分の1)ある人が、緊急に医療費必要になった場合には、 総量規制の例外として貸付が受けられる場合があります。

また、低金利のローンに借り換える場合などで、「借り手に一方的に有利となる借り換え」で「毎月の負担額や総返済額が減少する」 ことなどの要件が満たされれば、総量規制の例外として借り入れることが可能です。


表2:総量規制の例外
例外となる貸付け おもな要件
有価証券担保貸付け ・貸付の金額が有価証券の時価の範囲内であること
不動産を担保とする貸付 ・担保となる不動産は居宅または生計を維持するために不可欠な不動産以外のもの
・返済能力があると認められること
売却を予定している不動産の売却代金により返済される貸付 ・返済能力があると認められること
・当該不動産の売却後も個人顧客の生活に支障をきたさないこと
・売買の媒介契約書等を保存すること
借り手に一方的に有利となる借り換え ・1月の負担・総返済額が減少すること
・追加担保・保証がないこと
・極度方式基本契約※の場合は除く。
緊急の医療費のための貸付け ・返済能力があると認められること
・同様の貸付けがないこと
・極度方式基本契約※の場合は除く
配偶者と合算して年収の3分の1以下の貸付け ・配偶者の同意が必要
個人事業主向けの貸付け ・実地調査等による事業の実態の確認
・事業計画等に照らし、返済能力があると認められること
新たに事業を開始するために必要な資金の貸付け ・事業計画等に照らし返済能力があると認められること

※極度方式基本契約…貸付けに係る契約のうち、顧客によりあらかじめ定められた条件に従って返済が行われることを条件として、当該顧客の請求に応じ、極度額の限度内において貸付けを行う契約のこと。
(金融庁HP「貸金業の規制等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令の概要」より)

このように、総量規制は借り手の生活を守り、多重債務者を減らすための規制なので、借り手にとって無理のない貸付け、 メリットのある貸付けまで、何が何でも「年収の3分の1」に収めさせるものではありません。 「借りられなくなる」とむやみに焦るのではなく、総量規制の施行(2010年6月までに施行予定)を機に、借入内容を整理して、 自分にとって無理のないローンの利用のしかたを考えてみてはいかがでしょうか。


なお、貸金業法の改正については、以前の「FPからのアドバイス」も参考にしてください。
FPからのアドバイス第323回「あと1年?改正貸金業法」全面施行でどう変わる?
FPからのアドバイス第324回「もう専業主婦は借りられない?」総量規制の影響とは?

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2009年10月08日