第73回
新古車(未使用車)とは?メリット・デメリットと購入時のポイント
この記事は約11分15秒で読むことができます。
この記事のポイント
- 新古車について理解を深めよう。
- 新古車を購入するときにはローンの利用も検討しよう。
- ローン利用時のポイントについて理解を深めよう。
- 新古車とは?
- 新古車のメリット
- 新古車のデメリット
- 新古車が向いている人
- 新古車の購入検討に適した時期
- 新古車はどこで購入できる?
- 新古車購入の流れ
- 中古車の購入で利用できるローンとは
- マイカーローンを利用するときのポイント
- ローン審査に落ちたときの対処
- まとめ
「運よく新古車が見つかり、安く買えた!」……。こんな話を聞いたことがある人は少なくないでしょう。もっとも、新古車とは何かはよくわからない。こんな人もいるのではないでしょうか。
新古車とは、ナンバー登録が済んでいる未使用車のこと。新古車ならではのデメリットがあるものの、新車同然の車を安く購入したい人にはオススメできる車です。
この記事では、新古車の概要や具体的なメリット・デメリット、新古車購入の流れ、購入時に利用可能なローンの種類や注意点、ローン審査に落ちた場合の対処法について紹介します。
新古車とは?
新古車とは、ナンバーの登録をしたものの使用されていない車のことで、「未使用車」と表記されます。ナンバー登録がされているため、新車でなく中古車の扱いとなります。
普通自動車は「登録済み未使用車」、軽自動車は「届出済み未使用車」と呼びます。誰も乗っていないため新品同様に綺麗な状態の車であるにも関わらず、中古車なので新車よりも安く購入できるので、中古市場で人気です。
新古車のメリット
新車同様の中古車「新古車」には、どのようなメリットがあるのでしょうか。次は新古車のメリットについてご紹介します。
新車同様の車を安く購入できる
新古車の最大のメリットは、新車同様の車を中古価格で購入できる点にあります。
また、新古車の多くは走行距離も数十km程度と非常に短いものもあります。
車検までの期間が比較的長い
一般的に中古車の場合、車検までの期間が短い傾向にあります。購入してからすぐ車検時期を迎えることも珍しくありません。それに対して新古車は次の車検まで2年以上期間が残っていることもあります。中古車と比較して車検までの残りの期間が長ければ、その間車検費用を払わなくて済みます。
納車までの期間が短い
新古車は納車までの期間が短いのも魅力です。新車の場合、人気モデルを購入すると注文から納車まで数カ月、長ければ1年を超えることがあります。一方、新古車は中古車と同じくすでに車が出来上がっているため、納車までの期間は2週間程度と短めです。人気モデルの新古車を購入するなら、新車として購入するよりも短期間で納車される可能性があります。
新車と比較して各種税金が安い
車は購入時には自動車取得税、所有時には自動車税種別割や自動車重量税といった税金がかかります。自動車取得税は車を取得したときにかかる税金で、新車と中古車で税金の算出方法が異なります。
新古車は中古車に該当するため、新車と比べて自動車取得税が安くなります。自動車税は、毎年4月1日時点で所有している人が支払う税金で、4月1日以降に購入すると、すでに支払ってあるので、その年の自動車税は支払う必要がなくなります(車種によっては月割りで支払うこともあります)。
自動車重量税は、車の重さに応じて支払う税金で新車登録時と車検時に支払う必要がありますが、新古車の場合、ディーラーがすでに登録を済ませているため新車登録時の自動車重量税を支払う必要はありません。
新車の保証を引き継ぐことができる
新車を購入するときはメーカー保証があり、3年程度(特別保証は5年程度)有効です。保証継承制度により、新車登録から3~5年以内であれば中古車でも新車の保証を引き継ぐことが可能です。新古車は新車登録から3年以内のものが多いため、新車の保証を引き継げるケースが多くなります。
新古車のデメリット
新古車には様々なメリットがあることが分かりました。一方で新古車ならではのデメリットも存在します。新古車を購入する際には、次に紹介するデメリットも踏まえて検討しましょう。
選択肢が限られる
新古車を購入したい場合は、限られた新古車の在庫から選ばないといけないため、好みの車を購入できるとは限りません。また、グレードやオプションもすでに決まっているので、自分で選択することはできません。どのようなオプションが付いているかを購入前に確認することが必要です。
検討できる時間が少ない
中古車は基本的に一点物であるため、購入するかどうか悩んでいる間に売れてしまう可能性があります。かといって慌てて購入すれば予算を超えてしまったり、後から欲しかったオプションが付いてないと気付いたり等で後悔する可能性があります。
走行距離が長く、傷があることもある
新古車は一般的に走行距離が短く、状態が良いものが多いと言われています。そうした新古車の多くは展示車として展示されていたものです。一方、試乗車として使用されていた場合、話は別です。人気の車種なら、多くの人が試乗するので走行距離が何千kmと長い可能性もあります。また、展示や試乗で使用されたときに傷がついていることもあるため、事前の確認が必要です。
新古車が向いている人
ここまでご紹介した新古車のメリット・デメリットを踏まえ、新古車が向いている人はどのような人なのか解説します。
状態の良い車を安く購入したい人
新古車の最大のメリットは新車とほとんど変わらない状態の車を新車よりも安く購入できること。また、購入時に自動車重量税の支払いもありません。ですから、購入価格や税金を抑えたいけれども、中古車は心配という人におすすめです。
グレードやオプションにこだわらない人
新古車はグレードやオプションを自分で選択できません。しかし、グレードやオプションにこだわりがなければ状態の良い車を安く購入できるため新古車はおすすめです。
早く乗りたい人
状態のいい車に早く乗りたい人にも新古車はおすすめです。新車の場合、発注した車が納車されるまでに数カ月程度の時間がかかる場合があります。一方の新古車は中古車と同じ扱いであるため、名義変更と納車前点検が済めば購入から数日から数週間程度で納入され、早く乗り始められます。
新古車の購入検討に適した時期
一般的な中古車に比べ、新古車は台数が限られます。新古車を狙って購入するなら、新古車が増えやすい時期を狙って車探しをするとよいでしょう。ここでは新古車の購入検討に適した時期をご紹介します。
新古車の在庫が増える時期
ディーラーの決算時期や一般企業のボーナス時期は、一般にディーラーの在庫が増える時期なので、希望の車種がみつけやすかったり、セールなどで新古車を安く購入できたりする可能性があります。
決算の時期に在庫が増えるのは、ノルマの販売台数を達成するために、ディーラー自ら新車を購入して登録を行なうからです。決算後の4月や10月は、決算直前に増やした在庫が新古車として流通するため希望に近い新古車を見つけやすくなります。
一方、車の購入は大きな出費なため、多くの人がボーナス時期の7月や12月に購入を検討します。販売店ではボーナス時期を狙って在庫を増やす傾向があるため、新古車の在庫も増え、希望の新古車を見つけやすくなります。
モデルチェンジ時期
モデルチェンジの予定があると、旧モデルの在庫を早く処分するためセール等が行われることがあるので、旧モデルの新古車を安く購入できる可能性があります。モデルチェンジの予定がないかこまめにチェックしましょう。
新古車はどこで購入できる?
新古車はディーラーで販売購入するのが一般的ですが、中古車販売店や新古車専門店でも購入できます。それぞれどのような特徴があるのか見てみましょう。
ディーラー
ディーラーとは、特定のメーカーと特約店契約を結ぶ正規販売店の総称です。ノルマ達成のために新車を購入して新古車として売り出すことがありますが、中古車販売店等、他の販売店に卸すことが多いため在庫は一般的に少ない傾向にあります。展示車や試乗車を新古車として販売することもあるため、モデルチェンジ時期に新古車が増える可能性があります。
中古車販売店
中古車販売店は、その名の通り買い取った中古車を販売する店舗です。新古車については、販売店から買い取ったものやディーラーから卸されたものを販売しています。一般的に、軽自動車よりも普通車を取り扱う店舗の方が多い傾向にあります。
中古車販売店の中でも、メーカーからの認定を受けている中古車販売店は品質面でも安心です。ただし、取り扱い車種が認定を受けたメーカーのみに限定される場合もあるので、希望の車種があるのか、事前に確認することが必要です。
新古車専門店
店舗数は多くありませんが、新古車のみを扱う専門店もあります。新古車を探している人には便利でしょう。ただし、軽自動車の扱いが中心となっています。
新古車購入の流れ
新古車は中古車の扱いなので、購入する手順は、基本的に中古車と同じです。購入の流れを、次に紹介する7つのステップで説明しましょう。
【STEP1】車種と予算、譲れない条件を決める
まずは購入したい車の予算や条件を決めましょう。予算は車の本体価格だけでなく、購入時に支払う税金や保険料などの初期費用、継続して発生する駐車場料金を含めて検討する必要があります。また、購入代金の支払方法も、現金払いなのか振込なのか、ローンの使用の有無などを含めて検討しましょう。ローンを利用する際は、無理なく返済できる予算かどうかを確認します。
【STEP2】駐車場を決める
車を購入する際には、車庫証明書を提出する必要があります。車庫証明書は駐車場が決まっていないと発行してもらえないので、購入の前に駐車場を決めておきましょう。なお、車庫証明書の発行には申請から1週間ほどかかる場合があるので、時間に余裕を持って駐車場の用意をしておきましょう。
【STEP3】販売店に行って試乗する
販売店は一部の車種しか扱っていないので、購入したい車種に合わせて適切な販売店を選び、車を探します。具体的に候補の車が決まったら試乗し、乗り心地や視界の広さ、操作性等を確認します。写真やイメージとは異なることがあるので、試乗して確認することは重要です。
【STEP4】見積もりを取る
購入したい車が決まったら、まず見積もりを取りましょう。候補の車が複数ある場合には、それぞれ見積もりを取り、内容を比較します。合わせて、見積もりが予算内か、諸費用はどの程度かかるのか、車検はどのくらいの期間残っているか等を確認します。
【STEP5】契約し、支払いをする
見積もりの内容を確認し、問題が無ければ契約手続きを進めます。契約時に必要な種類は車種によって異なるため、余裕をもって用意しておきましょう。
普通自動車の場合に必要な書類等は以下の通りです。
- 実印、印鑑登録証明書
- 車庫証明書
- 委任状
軽自動車の場合に必要な書類等は以下の通りです。
- 印鑑
- 住民票の写し
- 委任状
なお、手続きに必要な自動車検査証(車検証)や自賠責保険証明書は販売店が用意するので、用意する必要はありません。
契約手続きの最後には購入代金を支払います。ローンを利用する場合はローン審査が必要になります。
【STEP6】任意保険を契約する
自動車保険には、強制加入の自賠責保険と、任意加入の保険があります。万が一に備えて、補償が厚い任意保険の加入も検討しましょう。
【STEP7】納車
新古車は、契約完了から2週間程度で納車されます。納車には販売店まで車を取りに行く方法と自宅まで届けてもらう方法があります。納車の際、傷や汚れがないか、契約通りのオプションがついているかなど不備がないかを確認し、問題があれば購入先に問い合わせましょう。
中古車の購入で利用できるローンとは
新古車を購入する際に、購入費用としてローンを組む人もいるでしょう。ここでは新古車の購入に利用できるローンの種類と特徴をご紹介します。
ローンの種類
新古車を購入する際に利用できるローンは「マイカーローン」「ディーラーローン」「自社ローン」の3種類です。
どのローンを利用するかで金利や審査基準が異なるため、特徴を理解することが重要です。特に金利の違いは返済総額に影響するので注意が必要です。
マイカーローン
マイカーローンとは、銀行・信用金庫・信販会社などの金融機関が提供する自動車関連資金向けのローンです。金利は年1~4%程度で、他のローンに比べて低めですが、その分、審査が厳しく、時間がかかる場合があります。
ディーラーローン
ディーラーローンとは、ディーラーが信販会社と提携して提供するローンです。ディーラーで車を購入する際に契約できます。金利は3.5~9%とやや高めですが、マイカーローンと比較すると車の販売実績を立てる思惑から審査が通りやすい傾向にあります。マイカーローン同様の通常の借り方に加え、残価設定型クレジットも選択可能です。キャンペーン期間は金利が下がることもあります。
なお、ディーラーローンを利用して新古車を購入した場合、ローン完済までは車の所有権はディーラーもしくは信販会社が持ちます。ローン返済期間中は所有権者の許諾なしで売却やカスタマイズができない点には注意しましょう。
自社ローン
自社ローンは、中古車販売店が信販会社を通さずに独自で貸付けを行うローンです。金利は設定されていませんが、その分は車の価格に手数料として上乗せされます。審査基準は緩く設定されていることが多いので、他のローンに通らない人でも利用できる可能性があります。
マイカーローンを利用するときのポイント
前述のローンのうち、銀行等が提供するマイカーローンについて、商品を比較検討する際に確認すべきポイントについて詳しく解説します。提供する金融機関によって特色は様々ですので、納得して選択出来るようにしましょう。
毎月の返済額・返済総額を確認する
マイカーローンには様々な種類があり、それぞれ適用される金利や返済期間が異なります。どのような条件で契約するかによって、以下の表のように毎月の返済額や返済総額が大きく異なります。
借入条件
- 借入額:100万円
- 返済期間:3年
- 返済方式:元利均等返済
金利 | 毎月の返済額 | 返済総額 |
---|---|---|
2% | ¥28,642 | ¥1,031,116 |
4% | ¥29,523 | ¥1,062,847 |
6% | ¥30,421 | ¥1,095,174 |
手数料や保証料を確認する
マイカーローンを利用する際、手数料(事務手数料や銀行取扱手数料)や保証料が発生することがあります。保証料とは、保証会社に保証を依頼するために必要な料金で、個人がマイカーローンを組む場合は保証会社を利用することが一般的です。保証料は金利に含まれているマイカーローンと含まれていないマイカーローンがあるので事前に確認が必要です。
繰り上げ返済時の手数料を確認する
繰り上げ返済を行うと、将来かかる予定だった利息負担を抑えられるため、余裕資金があって当初の予定よりも返済総額を抑えたい場合に有効です。
なお繰上返済時には事務手数料や印紙代、振込手数料等の費用がかかる場合がありますので、事前の確認が必要です。
見積もりを取数比較する
どの金融機関でマイカーローンを組むかによって条件が異なるので、金利や返済期間、手数料や保証料も含めてマイカーローンを比較検討しましょう。無理のない返済ができるかを把握し、自分に合ったマイカーローンを選ぶことが重要です。
ローン審査に落ちたときの対処
ローンを利用したくても審査に通らないこともあります。ローン審査に落ちてしまった時の対処について解説します。
他社でローン審査する
ローンは提供する会社によって、審査基準が異なります。
マイカーローンは審査が厳しいので、落ちてしまってもディーラーローンや自社ローンの審査が通る可能性もあります。
信用情報に問題がないかを確認する
個人のローンやクレジットカードの借り入れ・返済情報は信用情報機関にすべて記録されています。信用情報機関はCIC、JICC(日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つです。信用情報の保管期間は内容によって異なりますが、例えばローンの申込み情報やローンの返済などのクレジット情報は一定期間管理されます。過去の記録から、返済の遅れや借りすぎ状態になると判断された場合には、ローンの審査に影響が出る可能性があります。もし審査不通過の理由に思い当たる節があるようなら、個人でも請求できるので、信用情報機関に開示を請求し、問題があるか確認しましょう。
借入金額を少なくする
ローンで借り入れる金額を下げ毎月の返済額を抑えると、審査に通過しやすくなる可能性があります。借入金額を減らす方法として、頭金を用意する、購入する車の予算を下げるなどの方法が挙げられます。ただし、頭金をカードローンやキャッシング等の借り入れで用意すると、他に借り入れがあると見なされ、かえって審査に不利になる可能性があるので注意が必要です。
まとめ
新古車とは、ナンバー登録後に使用されていない未使用車を指します。ほぼ新車といえる状態の車を中古車として割安で購入できるため、市場でも高い人気を誇ります。
購入時には新車・中古車と同様に自動車ローンが利用可能です。ローンを利用する際には、複数のローンの金利や返済期間などを比較し、無理なく返済可能なローン商品を選ぶとよいでしょう。
新古車の購入についてもっと知りたい方は、ぜひこちらのページもご覧ください。
ライター紹介
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
都内ゲーム会社に12年勤務後、2018年12月にフリーライターとして独立。個人事業主としての開業を機に、金融・年金・不動産などのFP領域への関心を深める。毎年iDeCoと小規模企業共済の掛金を増額中。好きなものはふるさと納税。
融資の審査に関する内容につきましては、特定の金融機関がお申込みされたお客様に対して独自に行うものであり、当社は審査の過程および結果については一切関与しておりません。また、特定の金融機関の審査への適合性、正確性、完全性について保証するものではありません。
- 前の記事へ
- 次の記事へ