第40回

マイカーローン(自動車ローン)の繰り上げ返済はお得?メリットやデメリットを解説

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この記事のポイント
  • マイカーローン(自動車ローン)の繰り上げ返済の方法は2種類
  • 繰り上げ返済のメリット・デメリットを事前に確認しよう
  • 繰り上げ返済以外にも借り換えで返済負担を軽減する方法もある
車のトランクの前で両親と2人の子供が立っている画像

ボーナスが入るなど、余裕資金ができたときには、返済中のマイカーローン(自動車ローン)の繰り上げ返済をしたいと考える人もいるでしょう。マイカーローン(自動車ローン)の繰り上げ返済は返済負担を軽減するメリットが期待できますが、いま借りているローンによっては必ずしもお得になるとは限りません。繰り上げ返済をしてしまう前に、まずはメリット・デメリットをきちんと確認しておきましょう。

マイカーローン(自動車ローン)の繰り上げ返済

女性が車のハンドルを持っている画像

2種類の返済方法
繰り上げ返済は、予定されている返済時期よりも前倒しで借入残高を返済する方法ですが、大きく分けて2種類の返済方法があります。

一括繰り上げ返済

一括繰り上げ返済は、借入残高をすべて返済してしまう方法です。一括繰り上げ返済することで、残りのローン返済はなくなります。

一部繰り上げ返済

一部繰り上げ返済は、借入残高の一部を前倒しで返済する方法です。一部繰り上げ返済の後も、月々のローン返済は続いていきますが、借入元金が少なくなる分、繰り上げ返済後の利息負担が軽減されます。金融機関によっては、「○万円以上から」というように一部繰り上げ返済の下限金額を決めているところもあります。

なお、一部繰り上げ返済には、「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあります。「返済期間短縮型」は、繰り上げ返済後も毎月の返済金額は変わらずそのままで最終返済期限を短縮することができます。対して、後者の「返済額軽減型」は、繰り上げ返済後の毎月の返済金額を減額し、最終返済期限は変更しない方法です。

繰り上げ返済の流れ

繰り上げ返済の取り扱いや手続きの方法は、マイカーローン(自動車ローン)を提供している金融機関によって異なります。ここでは、一般的な繰り上げ返済の流れについて説明します。

1.返済の残額を確認

「早く繰り上げ返済したい」と考えてはいても、繰り上げに充てる予算が制限されているという人は多いものです。金融機関によっては、一括繰り上げ返済のみの取り扱いで一部繰り上げ返済には応じてくれないところもあります。

仮に自分が借り入れしている金融機関が一部繰り上げ返済に対応しておらず、また一括繰り上げ返済では考えていた予算内に収まらないのであれば繰り上げしたくてもできません。そのため、まずは借入残高がいくら残っているのか確認しましょう。あわせて、希望する繰り上げ返済日までの利息、および繰り上げ返済にかかる手数料も確認しておくと安心です。

2.繰り上げ返済の申請

繰り上げ返済することを決めた後は、マイカーローン(自動車ローン)を借り入れしている金融機関に繰り上げ返済する旨の申請をしましょう。金融機関によっては、「店舗に出向かなくてはいけないところ」「WEB上で手続きできるところ」などさまざまです。同じ金融機関でも店舗かWEBかで繰り上げ返済にかかる手数料の有無が異なるところもあります。できれば手数料がかからない方法で申請手続きできるといいでしょう。

3.返済完了

月々の返済同様、繰り上げ返済も月々返済している口座から指定日に口座振替されるところが多い傾向です。金融機関によっては、一括繰り上げ返済の場合、口座振替ではなく振り込みとなる場合もあります。繰り上げ返済が完了すると、返済のお知らせが届くのが一般的ですが、繰り上げ返済の内容に相違がないか、きちんと確認するようにしましょう。

マイカーローン(自動車ローン)の繰り上げ返済のメリット・デメリット

カレンダーと電卓の画像

繰り上げ返済のメリットやデメリットをしっかりと確認してから、繰り上げ返済の利用を検討するようにしてください。

繰り上げ返済のメリット

支払総額を減らせる

繰り上げ返済のメリットとして一番に挙げられるのが、支払利息を軽減できることでしょう。元金を前倒しで返済することで、本来その部分にかかるはずだった利息負担がなくなります。一般的に利息の軽減効果は、繰り上げ返済する元金部分が大きく、残りの期間が長いほど大きい傾向です。金融機関によって繰り上げ返済の手数料が有料の場合と無料の場合がありますが、他の条件が同じなら手数料無料のほうが支払総額の軽減効果はより期待できます。

所有権が自分に移る

ディーラーローンの場合は、完済するまで所有権は販売店のものです。一括繰り上げ返済や、一部繰り上げ返済を繰り返し、完済を早めることで所有権が自分に移る時期が早まります。

繰り上げ返済のデメリット

手数料が高い場合がある

金融機関によっては繰り上げ返済の手数料がかかることは前述しましたが、数千円から数万円かかるところや、ネット手続きなら無料というところもあります。繰り上げ返済により利息は減ったとしても、繰り上げ返済手数料が多くかかり、結局支払総額が低減されなかったのでは本末転倒です。特に、繰り上げ返済手数料がかかる場合で、一部繰り上げ返済を頻繁に行う場合は、手数料負担のほうが高くなる可能性があるため注意しましょう。

残額によっては繰り上げ返済する際まとまった金額が必要

一括繰り上げ返済でローンがなくなりすっきりするのは大きなメリットです。しかし、残りの借入残高によってはまとまった金額が必要になることがあります。貯金の取り崩しが必要になるなど、場合によっては完済後のキャッシュフローが崩れ、家計に悪影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。そのため、繰り上げ返済する場合は、生活に支障が出ないように行うことが大切になります。

マイカーローン(自動車ローン)の借り換えという選択

マイカーローン(自動車ローン)の返済負担を軽減させたいときには、繰り上げ返済以外にも借り換えを検討するのが良い場合もあります。あくまで、現在返済中のローンの状況や借り換え後のローンの条件によって異なりますが、借り換えのメリット・デメリットを確認し、繰り上げ返済をする場合と比較してみるのもいいでしょう。

借り換えのメリット

低金利による支払いの軽減

返済中のローンの残高や残りの返済期間にもよりますが、いまより低い金利のところを選択することで、マイカーローン(自動車ローン)の返済総額を少なくできる可能性があります。

返済期間を長く設定をすることができる金融期間もある

借り換え時には、新たなローンを組むことになるため、金融機関によっては返済期間を長めに設定できるところもあります。返済期間が長くなれば支払利息が増える可能性があることは懸念材料ですが、毎月の返済額を少なくすることができ、月々の返済は楽になります。

借り換えのデメリット

手数料がかかる(返済手数料、事務手数料)

借り換えは、新たに借りたお金で現在返済中のローンを一括繰り上げ返済し、新規ローンの返済がはじまる仕組みです。つまり、既存ローンを一括繰り上げ返済するための手数料がかかる場合があります。加えて、新規ローンを組むための事務手数料や収入印紙代がかかるのが一般的です。借り換えすることで軽減される利息額がこれらの手数料額よりも上回っていなければ借り換えはデメリットになってしまいます。

手続きが面倒

借り換えとはいえ、初めてローンを申込むとき同様に申込みや審査があることを忘れてはいけません。申込み時に本人確認書類はもちろん、収入証明等の書類をそろえる必要があります。また、既存ローンの繰り上げ返済の申し出のように、さまざまな手続きが必要です。人によってはこれら一連の手続きを面倒に感じることもあるかもしれません。

繰り上げ返済、借り換えを計算した場合のシミュレーション

2種類の繰り上げ返済および借り換えについて、それぞれどのようにお得になるのかシミュレーションしてみましょう。

シミュレーションにあたり、返済中のマイカーローン(自動車ローン)の条件は次の通りと仮定します。

  • 当初借入金額200万円
  • 借入期間5年
  • 年利3.5%
  • 元利均等返済、返済済期間2年
一括繰り上げ返済の場合

返済手数料0円と仮定

項目 金利 毎月返済額 返済総額 利息総額 返済軽減額
返済中のローン
3.5%
36,383円
2,182,980円
182,980円
一括繰り上げ    
2,118,482円
(うち繰上返済金額)
1,208,907円
118,482円
64,498円
一部繰り上げ返済の場合

50万円を一部繰り上げ金額として充当、返済手数料0円と仮定

  金利 毎月返済額 返済総額 利息総額 返済軽減額
返済中のローン
3.5%
36,383円
2,182,980円
182,980円
一部繰り上げ
(期間短縮型)
 
36,383円
2,140,480円
140,480円
42,500円
一部繰り上げ
(返済額軽減型)
 
(繰り上げ後)
21,335円
2,156,295円
156,295円
26,685円
繰り上げ返済しないで融資先を借り換えて返済をした場合

返済中のローンの元金残高124万円を借り換えすると仮定(返済手数料、事務手数料は加味しない)

  金利 毎月返済額 月返済軽減額 借り換え後の
返済総額
返済軽減額
返済中のローン
3.5%
36,383円
1,308,788円
借り換え
(返済期間3年)
2.3%
35,679円
704円
1,284,439円
24,349円
借り換え
(返済期間4年)
2.3%
27,064円
9,319円
1,299,075円
9,713円

上記のシミュレーションはあくまで仮定のケースです。実際に検討する場合には改めてそれぞれシミュレーションを行う必要があります。

ただし、仮定のケースでは返済軽減額が最も大きくなるのは一括繰り上げ返済のケースです。また、100万円以上のまとまった資金が必要になります。後々のキャッシュフローへの影響を考えながら検討してください。

毎月の返済を楽にしたい場合には、借り換えで返済期間を少し延ばすのも効果的です。借り換え前後の金利差によって実際の軽減額は変わりますが、仮定のケースでは月々9,000円程度の軽減になり、かつトータルでも少なからず返済総額が減少しています。返済期間が少し延長しても問題ないのであれば、検討してみてもいいでしょう。

まとめ

余裕資金ができた際に、マイカーローン(自動車ローン)の繰り上げ返済を利用することで、その後の返済負担を軽減することが期待できます。とはいえ、繰り上げ返済にはメリット・デメリットがあります。また、繰り上げ返済にもいくつか種類と方法がありますので、それぞれをしっかり理解してから利用することが大切です。

返済負担の軽減には、まとまった資金準備が不要な借り換えという方法もあります。実際に検討する際には、あらゆるパターンでシミュレーションし、最適な方法を取るようにしましょう。借り換えの場合には、効果を最大限に得られるよう、金利や手数料など最適なローンを選択することが大切です。

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ライター紹介

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續 恵美子 (つづき えみこ)

日本FP協会認定CFP®

生命保険会社にて15年勤務した後、ファイナンシャルプランナーとしての独立を目指して退職。その後、縁があり南フランスに移住。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。

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