第6回

教育ローンで叶った、航空機ライセンスの取得

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自衛隊でヘリコプターを操縦していた菅井さんは、旅客機のパイロットになりたいという新たな夢が膨らんできました。そこで、ローンを使って旅客機のパイロットに必要なライセンスを取得しました。

資格取得者のデータ
神奈川県 菅井さん(仮名)
家族構成:
独身(27歳)
年収:
契約当時 500~600万円
取得した免許:
自家用操縦士技能証明、事業用ライセンス、多発限定変更、計器飛行証明の4種類
免許取得費用:
1,200万円
自己資金:
450万円
利用ローン:
みずほ銀行教育ローン(300万円)と千葉信用金庫教育ローン(450万円)
金利タイプ:
変動金利型
金利:
みずほ銀行(3.3%)、千葉信用金庫(2.5%)ローン借入金額:750万円
借入期間:
両金融機関とも8年
毎月の返済金額:
みずほ銀行25,000円、千葉信用金庫50,000円

菅井さんは、26歳の時それまで勤めていた自衛隊を除隊して、フライトスクールに入学しました。旅客機のパイロットを目指すためです。
菅井
私の場合は、子供の頃からパイロットに憧れていたというわけではありませんでした。特別やりたいこともなかったので、高校卒業後陸上自衛隊に入りました。目的なく大学に入ってムダにお金を使うよりも、国の役にたった方がいいと考えたからです。
空を飛びたいという夢が出てきたのは入隊してから。きっかけは、ヘリコプターの操縦士の募集でした。それを聞いた時、子供の頃に空を自由に飛び回る「鳥」が好きだったことを思い出しました。さっそく試験を受けると、幸いにも合格。ヘリコプターで空を飛び回る日々が始まりました。
ある時、仲間から高卒でも中途採用で航空会社の試験を受けて、旅客機のパイロットになれる道があるという話を聞きました。空を飛ぶ楽しさを知った自分には、大勢のお客様を乗せて大空にはばたく仕事は、やりがいのある素晴らしい仕事に思えました。初めてやりたいことがみつかったという感覚でした。そこで、昨年2月、パイロットを目指すために自衛隊を辞め、受験に必要なライセンスを取得するために渡米したのです。当時26歳でした。

アメリカのオレゴン州コルバリスにあるパイロットハウス(訓練生の寮)。最大9人が住める

まず、アメリカのオレゴン州コルバリスのフライトスクールに入学しました。
菅井
4月に、オレゴン州の小野アビエーションというフライトスクールに入学しました。航空会社が募集するパイロットの試験を受けるための資格をいくつか取得するためです。わざわざアメリカで免許を取得するのは、日本のおよそ3分の1から4分の1くらいの価格で取得できるため。ですから、アメリカで取得する人が多いわけです。教官に日本人もいて、基本的に講義は日本語ですが、試験は、口述・実地・筆記すべて英語です。
まず、取得するのは「自家用操縦士」の免許。自動車でいえば、普通免許にあたる基本の免許です。「自家用操縦士」の免許は、日本で使えるし、免許更新もできます。それから、「多発限定変更」。エンジンがふたつ以上ついている飛行機の免許です。これも日本で更新できるので取得しておきました。それに、日本で一部の試験が免除になる「計器飛行証明」。合計3つの免許を取得しました。

アメリカで取得した自家用操縦士の免許

帰国すると本田航空に入学。最後の仕上げとして事業用操縦士、計器飛行証明を取得しました。
菅井
日本で取得しなければならない免許もあります。まず、事業用操縦士の免許。自動車の二種免許のようなもので、お客様を乗せるのに必要な資格です。計器飛行証明は、雲の中や夜間など視界不良の状態になった時に、航空交通管制の指示と計器を頼りに飛行できるという証明。私は、すでにアメリカで計器飛行証明を取得していたので、一部の試験は免除です。
日本には昨年10月に帰国。残りの免許を取得するために今度は本田航空に入学して訓練を積みました。私がアメリカで通っていた小野アビエーションは本田航空と提携していて、両校連携の『エアラインパイロットコース』というコースも設けていました。私は、そのコースをとっていたので、スムーズにアメリカでの訓練の続きができました。

計器飛行訓練に使われるホーカー・ビーチクラフト式 G58型のコックピット

飛行機を操縦すると、その圧倒的なスピード、景観に感動したそうです。同時に、ヘリコプターならではの魅力にも気づきました。
菅井
飛行機を操縦して感動したのは高度とスピードでした。ヘリコプターの高さに慣れていたので、雲の上を飛ぶ飛行機の高度は余計に高く感じました。広々とした空を、猛スピードで飛ぶのは素晴らしい感覚でした。まさに鳥ですよね。でも、飛行機に慣れてくると今度はヘリコプターが懐かしくなってくる(笑)。低空から見える景色も、また格別だし空間で停止できるという機能はすごい。飛行機に乗ることで、改めてヘリコプターの良さを認識できたのはよかったと思います。

飛行訓練中。乗っているのはPiper PA44セミノール

免許取得にかかる費用は総額で約1,200万円。不足した分は、返済猶予がある教育ローンを利用しました。
菅井
訓練の費用の支払いは一括ではありません。アメリカでも日本でも、毎月学校から請求書が来て支払うというやり方でした。自動車教習所と同じで、人によって訓練にかかる時間が違いますからね。
自分の貯蓄や両親から借りたりして用意できた自己資金は450万円。不足分の750万円は、みずほ銀行と千葉信用金庫から借りました。どちらも元金据置型の教育ローンにしたので、元金の支払は2014年5月から。それまでは利息だけの支払です。ちなみにみずほ銀行が月に10,000円、千葉信用金庫が8,000円です。
最後に、これからパイロットになりたい人へのメッセージをお聞きしました。
菅井
一般的にパイロットは、ものすごく能力が高い人しかなれないイメージがありますが、高卒の自衛隊員で、全く関係ない部署にいた私でも、自力で免許をとれれば、パイロットになれる可能性があるわけです。もちろん、そのためには現状を変えたり(退職)、大金を借りるという決断とリスクの許容が必要です。でも、チャンスは誰にでもあると思います。

手にしているのは、自家用操縦士の免許。乗っているのはDiamond DA20

ライターからのコメント。

旅客機のパイロットという大きな夢に向かって、菅井さんは一歩一歩着実に歩き始めました。自分をレベルアップするための自己投資の費用を工面する時にこそ、ローンは大きな味方になると実感しました。教育ローンも様々なタイプがあるので、上手に活用したいものです。

菅井さんが免許を取得した施設/小野アビエーション(http://www.onoaviation.com/)本田航空(http://www.honda-air.com/)、企画構成/カデナクリエイト、編集/イー・ローン