第912回

マイカーローンを「お得」な金利で利用するには?

マイカー購入を検討しています。好きな車種を中古で狙うか、手頃な価格の新車か…と、迷っており、マイカーローンの利用も検討中です。ローンを利用するならお得な金利で…と思いますが、気をつけることはありますか。(千葉県 T)
広告の「特別金利」や「最優遇金利」に目がひかれますが、ご自分の借入に適用される金利とは限りません。お得な金利が適用される条件を確かめて、自分にとって有利なローンをピックアップしましょう。

広告で目立っている「金利」で利用できるとは限らない

マイカーローンに限ったことではありませんが、ローンの広告などに大きな字で書かれているのは、最も優遇が受けられた場合の数字であり、誰でも、どんな場合でも、同じだけの優遇が受けられるとは限りません。「優遇」の条件は、金融機関やローンによってさまざま。ご自分がどんな条件を満たしているか、自分の場合に適用される金利はどれくらいかを冷静に判断して比較検討しましょう。

特別金利が適用されるのは、どんな車?どんなローン?

車のCMで、「特別金利○%」という告知をみかけることがありますね。

ディーラー(車の販売店)が取り扱うディーラーローンは、ディーラーと関連する信販会社が提供しています。車種によって、あるいは新車か中古車かによっても金利が異なり、期間限定のキャンペーンなどで「特別金利」が一定の車種に適用されているようです。キャンペーンによっては、「一定の車種」を「残価設定型ローン※で買う場合」など、ローンの種類が限定されている場合もあります。

「特別金利」のCMにつられてお店をのぞいてみたものの、狙っていた車種が対象でなければがっかりしますよね。ディーラーローンは審査期間が短く、手続きもディーラーで行えるので便利ですが、銀行などのマイカーローンよりも金利は高め。特別金利であっても、金融機関のマイカーローンのほうが低金利な場合もあります。お店を訪ねる前に、HPなどで「特別金利」はどれくらいなのか、その対象になるのはどんな車種・ローンタイプなのかを確認しておきましょう。

※過去の「FPからのアドバイス」も参考になさってください

【参考リンク】

金融機関の審査と、取引関係などで金利が決まる

銀行などの金融機関のマイカーローンは、新車や中古車、カーアクセサリーなどの購入資金だけでなく、免許取得費用、車検費用などの使途の場合も利用できるローンです。マイカーローンの金利設定は「1.0%~3.5%」というように幅があり、ローン利用者の信用度やその金融機関の取引関係などによって適用金利が決まります。信用度が高ければ適用金利は低くなりますし、借入金額が大きいほうが適用金利は低くなります。「住宅ローン利用中」「給与振込口座あり」などの条件を満たしていれば、優遇金利が適用されるローンも多くあります。

金融機関の審査基準は一般的に公表しておりませんが、取引関係などの条件ははっきり書かれているローンが多いものです。日頃つきあいのある金融機関の「条件」は満たしやすい場合が多くなるので、つきあいのある金融機関のマイカーローンはチェックしておきましょう。一見低金利とは見えないローンでも、あなたがクリアできる条件が多ければ、低金利で利用できる有利なローンになるかもしれません。

マイカーローンで優遇金利が適用されるための条件の例
その金融機関との取引関係 その他
・住宅ローンを利用している
・その他のローンを利用している
・給与振り込み口座や年金受取口座にしている
・定期預金が一定額以上ある
・投資信託を保有している
・その金融機関に関係するクレジットカードを契約している
・webで申込む
・エコカーを購入する
・ゴールド免許を保持している
・18歳未満の子どもがいる

このように、マイカーローンは、広告などに書かれた優遇金利で利用できるとは限らないので、冷静に条件を確かめることが大切です。また比較する際は、「実質年率(金利以外にも手数料や保証料などがかかる場合に、その負担を金利に加味して表示したもの)」で行いましょう。金利やそれ以外にかかる手数料なども含めてトータルで比較して、ご自分にとって有利なローンを選んでください。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 の写真

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2021年02月16日