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第801回

自動車所得税から環境性能割へ。消費税増税でマイカー購入は変わる?

近々、自動車を買おうと考えていますが、消費税増税の前と後のどちらで買った方がいいのでしょうか?(S・Yさん 35歳 会社員)
2019年10月の消費税増税(8%から10%)は既定路線になってきました。 増税時には、自動車取得税が廃止され、代わりに環境性能割が導入されることになっています。 これによって、増税の前と後、どちらで買った方がいいのか迷うでしょう。そこで、調べてみました。

自動車を買うときはいろいろな税金がかかる

自動車を買うとき、現状では下記の税金がかかります。

[1] 自動車取得税
50万円以上の自動車を買うと、車両本体価格+主要オプションの90%(1000円未満は切り捨て)に、自家用自動車は3%、軽自動車は2%の税金が課税されます。 ただし、エコカー減税で非課税、または、20%~80%に軽減されています。
[2] 自動車重量税
車両の重さに応じて課税されます。新車購入時は3年分、車検時は2年分を納税します(以後、車検ごとにかかる)。 ただし、今はエコカー減税で免税、または、25%~75%に軽減されています。
[3] 自動車税・軽自動車税
自動車の排気量に応じて課税されます。年度の途中で買うと、翌月から年度末までの分を納税します。 翌年からは、毎年かかります。ただし、今はグリーン特例で50%~75%に軽減されています。
[4] 消費税
車両価格(オプション含む)や登録手数料(法定費用を除く)の合計に対して8%が課税されます。

2019年10月に、消費税が10%に増税されると税金が2%増えることになってしまいます。 そこで、増税後の消費の冷え込みを解消する経済対策として、[1] の自動車取得税は廃止されることが決まっています。 そもそも、自動車取得税と消費税を同時に課すのは二重課税ではないかと問題視されていたからでもあります。

自動車取得税が廃止される代わりに、[3] の自動車税・軽自動車税に、環境性能割が導入されることになっています。これは、燃費性能の良し悪しで税率が変わる新しい税制です。 買った年の自動車税・軽自動車税に上乗せするもので、燃費基準の達成度によって、車の取得価格に対して、自家用自動車は0%~3%、軽自動車は0%~2%の税率が予定されています。

やはり、増税前に買った方がよさそう

消費税増税後に自動車を買うと、[2] の自動車重量税(エコカー減税が継続するかは未定)と[3]の環境性能割が導入された自動車税・軽自動車税、[4] の消費税10%がかかることになります。

では、自動車は増税の前と後のどちらで買った方がいいのでしょうか?

増税後は、自動車取得税(自家用自動車3%、軽自動車2%)は廃止されますが、燃費性能がよくない自動車(環境性能割が3%・2%)は相殺されてしまい、消費税増税分の2%の負担増になります。 燃費性能のいい、環境性能割で0%の自動車でないと、増税分のカバーは難しいことになります。

やはり、増税前に買った方がよさそうです。特に環境性能に優れた自動車は、現状のエコカー減税(2019年3月31日までの予定)と、グリーン化特例(2019年4月30日までの予定)が適用される間に買うのがいいでしょう。

さて、自動車を買うときにマイカーローンを利用する人もいるでしょう。 増税前の金利割引キャンペーンを実施する金融機関が徐々に増えています。ディーラーで審査できるローンを利用される方も多いと思いますが、金利で比較すると銀行などの金融機関で借りるマイカーローンの方が低い場合が一般的です。 既に口座のある金融機関で公共料金などの引落指定をされているなどの密なお取引をされていると、通常よりも更に低い金利で利用できるかもしれません。 最近では、店頭よりもWEBから申し込みをした方が金利を優遇する取組が金融機関で広がっています。 税金の負担も利息の支払いも同じ支出です。できるだけ、金利の低いマイカーローンを選んで利用しましょう。

【参考リンク】

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2018年11月02日