第762回
マイカーローンでの自動車購入とカーリース。何がどう違う?費用負担は?
- カーリースにするかマイカーローンで購入するか迷っています。費用負担も含め、どのような違いがあるでしょうか。(Yさん 会社員、28歳)
- 車をカーリースにするかマイカーローンで購入するか、迷っているのですね。費用面だけでなく、両者の違いやメリット・デメリットをしっかり理解した上で検討するといいでしょう。
カーリースとは?マイカーローンとどう違う?
車を「保有」するには、いくつかの方法があります。一般的なのが、現金あるいはマイカーローンを組んで購入することですが、カーリースも最近増えているようです。 カーリースはレンタカーやカーシェアリングとは異なり、自動車の使用者名義は本人です。 当初設定したリース契約期間中は自動車を占有できるため、一見すると購入した場合と何ら違いはありません。 ただし、カーリースの場合、所有権はリース会社となり、本人は「使用者」となります。
カーリースとは、リース会社と個人との間で結ぶ自動車のリース契約(賃貸借契約)です。 一般的には、車を維持するのに必要なもののほとんどがリース料に含まれます。
カーリースのリース料に含まれるもの
・車両費・税金(自動車取得税、自動車重量税、自動車税・軽自動車税)
・自賠責保険料
・車検費用
・金利・手数料 等
契約によっては、任意保険の保険料やメンテナンス費用を含む場合もあります。 しかも、契約期間終了後の残価をあらかじめ引いて計算されているため、マイカーローンで購入した場合に比べ、初期費用が掛からず、月々の支払いも一般的には抑えられます。
マイカーローンで購入した場合との違いでは、ローンだと完済後は自分の所有物となるものの、カーリースの場合は契約期間が終了すると自動車はリース会社へ返却しなければなりません。 あるいは、契約を延長する(再リース)、車買取りをするという方法もあります。
車を荒っぽく乗って傷つけたり事故で損傷したりと、残価が予想以上に割れてしまう場合は、差額を一括で支払うか、買取りする必要がある場合もあります。 何かの都合で中途解約をする際も、その車を買い取ることになり、これらの際にはローンで購入する場合より割高になる可能性が高くなります。
マイカーローン | カーリース | |
---|---|---|
車の所有者は? |
本人(返済期間中はローン会社の場合も) |
リース会社 |
返済額やリース料の算定は? |
自動車本体・付随費用等から毎月のローン返済額を計算 |
残存価額を控除して毎月のリース料を計算 |
中途解約は? |
残債分を繰上返済することはできる |
原則不可 |
リース・返済が終了後は? |
ローンもなく車に乗り続けられる。売却もできる。 |
車を返却する、契約延長(再リース)、車買取りのいずれかを選ぶ。 |
コストの違いは?
例えば、ORIXのカーリース・オンラインで、ニッサン「ノート」(2WD・5ドア・S5人・1200cc・FCVT、新車価格139万9,680円)を試算すると、7年契約(5年経ったら乗り換えや返却が自由。7年後は自分のものにできる)では、リース料は月2万8,080円(頭金なし)。 これを5年払うと合計168万4,800円、7年で235万8,720円となります。 カーリースの場合は、前述のように、各種税金や自賠責保険、車検費用、金利・手数料等も含まれています。
一方、全額マイカーローンで購入したとして、金利1.8%で5年間支払うと、月返済は2万4,417円(ボーナス払いなし)。 累計では5年で146万5,020円となります。完済すれば、車は自分のものです。 5年経過時点で車にどれくらいの価値が残っているか、さらには、マイカーローンで購入した場合に現金払いをしたコストなどもあります。 それによってどちらがお得かが違ってきます。一般的には、カーリース会社の手数料が加算される分、リースのほうが高くなると考えられます。
どんな人に向く?
カーリースかマイカーローン、どちらが向くのかを考える際には、次のように整理できそうです。
マイカーローン等での購入が向く人
・同じ車に長く乗りたい・走行距離が長い
・車を自分でいじりたい
カーリースが向く人
・3~5年で乗り換えたい・初期費用をあまり負担したくない
・車検や税金などの支出も含め毎月均一の負担にしたい
Yさんの場合は、どちらが向きますか? ご自身の車の乗り方や家計の傾向などで考えてみるといいですね。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。
20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。
※執筆日:2018年02月06日