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第620回

自動車税の納税シーズン到来。これから車を買う人はココに注意!

貯金も少々貯まったし、そろそろ自動車を買いたいと思っています。どんな自動車を買おうか、新車か中古車かなど、いろいろ調べて毎日わくわくしています。4月2日以降に買えば、自動車税がかからないというのは本当ですか?(Fさん27歳、会社員)
自動車は車両価格だけではありません。購入の諸費用や維持費、買ったことでレジャー費が増えるかもしれない点を頭に入れて、今後の生活費を点検してみてください。なお、4月2日以降に買っても自動車税は月割りでかかります。

自動車にかかる税金と変更点

自動車を持っている人にとって、5月は自動車税や軽自動車税の納税の時期です。自動車税・軽自動車税は車を所有しているとかかる税金で、毎年4月1日時点の所有者に課税され、5月31日までに納税を済ませる必要があります。

実は自動車を購入する時や保有している際、あるいは車検時には複数の税金がかかります。購入時には車両価格に消費税がかかるほか、原則自動車取得税がかかります。自動車取得税は2014年4月の消費税増税時に5%から3%に引き下げられ、2017年4月の消費税の再増税のときに廃止される予定です。質問にある自動車税ですが、確かに4月1日時点の所有者に税金がかかるのですが、その後に購入しても月単位でかかります。ただし、軽自動車税に関しては月割の支払いはなく、4月1日時点の所有者が支払うだけですので、軽自動車税と勘違いされていないでしょうか。

自動車の所有時にかかる税金としては、自動車税・軽自動車税があります。また、車検の時に自動車重量税がかかります。2015年4月からの変化のひとつに、軽自動車税が7,200円から10,800円に増税されたことが挙げられます。他にも、5月1日より購入する自動車が厳格化されたエコカー減税の対象になると、自動車重量税が減免(100%・75%・50%)される特例措置もあります。エコカーに該当する新車を購入する場合は税金が軽減されます。

ちなみに、最近の新車販売台数はどうなっているかというと、2014年4月の消費増税前の駆け込み需要の反動もあって、前年度は▲6.9%でした。一方、軽自動車の割合が初めて4割を超えたのも2014年度でした。ですが、日本自動車工業会の予想では、2015年度は4月からの軽自動車税の増税やエコカー減税の厳格化の影響でさらに▲5.4%と見込んでいるようです。軽自動車が増税になったとはいえ、普通車に比べてコストがかからないためか、軽自動車の割合が下がらないと見ているようです。

自動車にかかる税金を整理!
時期 税金 種別 備考
購入時 消費税 国税・都道府県税 現在8%、2017年4月に10%へ。
自動車取得税 都道府県税 普通車3%、軽自動車2%。消費税が上がる2017年4月に廃止。エコカー減税で軽減も。
自動車重量税 国税 車の区分や重量に応じて課税。2017年4月30日まではエコカー減税で軽減も。
自動車税 都道府県税 4月1日に課税。年度の途中で買うと残りの月分を支払う。エコカー減税で軽減も。
所有時 自動車税 都道府県税 4月1日に課税。エコカー減税で軽減も。
軽自動車税 市区町村税 2015年4月より7,200円から10,800円に。一部にエコカー減税で軽減も。
車検時 自動車重量税 国税 車検時に自動車の区分や重量に応じて課税。2017年4月30日まではエコカー減税で軽減も。

買う前に諸費用や維持費の点検を!

自動車には多くの税金がかかることを見てきましたが、他にも様々な費用がかかります。購入時であれば、自賠責保険、納車費用、検査登録費用、車庫証明を代行する費用などその他の諸費用が必要です。所有している間にかかる費用としては、任意保険や車検費用、駐車場代などが挙げられます。また、自動車に乗ればガソリン代や高速料金などがかかるほか、タイヤ交換等消耗品などの費用もかかります。

Fさんもご承知のように、自動車は買うときだけでなく、その後、税金や維持費がかかるのです。どれくらいかかるのか、ひとつの例として下記の記事を参照してください。

【参考リンク】

100万円の中古車(一定のエコカー基準を満たす)を購入する場合、購入時に約114万円、維持費として年間約32.4万円かかっていることになります。自動車ローンで車両費を支払った場合、その後のローン返済は月17,527円(100万円を5年、金利2%、ボーナス返済なしで試算)となります。これに年間維持費を月割にした27,000円をプラスすると、約44,500円です。

自動車を買うと行動範囲も広がって、その分レジャー費や外食費も増えることでしょう。遠出をした先でカフェやレストランに入ったり、おいしいラーメンを食べに行ったりなど……。そうしたレジャー費や外食費が増えることも計算に入れておくことが大事です。

この試算はあくまでも100万円の中古車を購入した場合の例です。どんなクラスのどんな自動車を買うのか、新車か中古車かによっても費用は違ってきますので、Fさんもまずはご自身で書き出して試算をしてみるといいでしょう。「貯金が少々貯まった」と書かれていますので、車両費が現金で買えるか、自動車ローンが少額で済むのであれば、毎月の負担が軽減できるかもしれません。ですが、手元の貯蓄をすべて使ってしまうのはリスクですので、生活費3ヵ月分の貯蓄は残した上で、自動車ローンなども上手に使って生活のバランスを取ってください。

自動車を買う前にぜひ次のチェックリストで点検し、当てはまるものにチェックを入れてください。当てはまらないものが1つでもある場合は、もう少し検討が必要かもしれません。

<自動車購入チェックリスト>

□購入時の税金・諸費用を試算して無理なく払えることを確認した

□購入後の維持費も試算し毎月無理なく払い続けられることを確認した

□自動車ローンも無理なく払い続けられる

□手元に生活費3か月分の貯蓄を残せる

□カーシェアやレンタカーではなくマイカーでないとダメ

□自動車で贅沢をする分、他の事は我慢できる

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2015年04月28日