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第611回

新生活で自動車の購入を検討中の方!買い方はどうするべき?

4月からの仕事の関係で引っ越しを考えています。今までの生活では車は特に要らなかったのですが、今度の居住地では車がないと不便そうです。これを機にまずは中古車の購入を検討しようと思います。100万円程度の中古車であれば現金で購入をしてもよいのですが、その後の維持費も考えると現金を一気に使ってしまうのも怖くて。今後の自動車の維持費を含めた生活の仕方を教えてください。(Uさん 32歳 会社員)
自動車ローンを組むと金利負担があるため、できることなら現金で購入したいところですが、そこで手持ち資金を使い切ってしまうのは危険です。自動車購入後の生活をイメージして資金計画を立てることが重要です。

自動車購入の際は諸費用、維持費も確認

自動車を購入する際には、車両価額の他に自動車取得税や自賠責保険などの諸費用が必要です。また、購入してからも維持費がかかります。維持費には、駐車場代、ガソリン代、自動車税、任意保険、車検費用の他、オイルやタイヤなどの消耗品費も含まれます。初めて自動車を購入する場合は、購入費用だけでなく、維持費がいくらかかるのかをしっかりと確認しておくことが重要です。

一例として、車両価格100万円、一定のエコカー基準を満たす中古車を3月中に購入した場合の購入時の費用と維持費を見積もってみます。駐車場代やガソリン代は個人差や地域差が大きいですが、下記の例では年間の維持費は約32万円、1ヶ月あたりに換算すると27,000円程度かかります。

【例】車両価額100万円、一定のエコカー基準を満たす中古車を購入する場合
購入にかかる費用 維持費(年間)
車両価額 1,000,000円 駐車場代*1 120,000円程度
消費税(8%) 80,000円 ガソリン代*1 60,000円程度
自動車取得税 10,000円 自動車税*2 34,500円
自賠責保険 27,840円
(24ヶ月分)
任意保険 50,000円程度
(条件により異なる)
その他諸費用 20,000円程度 車検費用*3 50,000円程度
    消耗品 10,000円程度
合計 1,137,840円程度 合計 324,500円程度

*1 地域や利用条件等により異なる
*2 総排気量が1.5リッターの乗用車とした場合
*3 車検は2年に一度なので車検1回分の費用の半分を1年分とする

なお、エコカー減税の延長、見直しが決まり、自動車取得税は平成27年4月1日から、自動車重量税は平成27年5月1日から新制度が適用されます。中古車を購入する場合にはあまり影響は大きくありませんが、新車を購入する場合には増税になるケースが多いですので確認してみてください。

現金で買う?自動車ローンを組んで買う?

Uさんはある程度の貯蓄があり、現金での購入も検討されています。確かに自動車ローンを組むと利息を支払わなければならないので、もったいなく感じる人もいるかと思います。しかし、手持ち資金を自動車購入で使い切ってしまうと、購入後の維持費や生活面での急な支出の際に家計が逼迫するおそれがあります。

上記の例の場合、購入時には車両価額100万円の他に税金や諸費用として約15万円が必要です。さらに年間の維持費として約33万円がかかり、これらを合わせると約50万円にもなります。100万円の自動車を買うつもりで現金を用意していて、追加で50万円が必要になるとするとかなり家計を圧迫してしまいます。現金での購入を検討する場合は、車両価額に加えて100万円程度は余裕を持っておくと安心です。

一方、自動車ローンを利用した場合を見てみましょう。上記の例で、仮に40万円を頭金にし、残り70万円を自動車ローンで借り入れたとします。70万円を金利(実質年率)2.5%、24回払い、元利均等払いで借りた場合、毎月の返済額は29,932円、総返済額は718,375円です。毎月3万円程度の返済額であれば、返済しながら貯蓄をしていくことも難しくはないと思います。また、手元資金のうち頭金に使わなかった60万円が残るため、資産の減少が緩やかになり家計に与える影響も限定的です。Uさんのように、すでにある程度の貯蓄ができている状態で自動車ローンを活用すれば、借入額を少なくし利息負担を抑えながら家計にゆとりを持たせることができます。

生活をイメージした資金計画をしっかりと

自動車購入の際は、その後の生活をイメージして総合的に資金計画を立てる必要があります。ある程度の貯蓄がある場合でも、その後の家計状態を考え、場合によっては自動車ローンの活用を視野に入れてみましょう。

また、自己資金がない場合でも自動車ローンを利用すれば自動車を手に入れることができますが、その場合は返済や維持費についてしっかりと確認し、計画を立てることが重要です。ローンを借りるときには、1.借入金額を少なくする、2.返済期間を短くする、3.金利を低くする、の3つが鉄則ですが、それに加えて無理をしないことが重要です。どうしてもローンの負担が大きい場合には、購入する車種を変更するなどして購入金額を下げることを検討する、返済期間を長くする、あるいはある程度の貯蓄ができるまで購入時期を延ばす、といったことも含めて検討してみましょう。

私が書きました

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2015年02月24日