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第457回

マイカー購入の資金計画は、ローンの使い方をじっくり検討しよう

マイカーの買い替えを計画中です。テレビのCMで「特別金利(実質年率)2.9%」と言っていましたが、かなり低金利ですよね?キャンペーン期間中に購入を決めたほうがいいでしょうか?(大阪府 H)
自動車ローンの借入先は、ディーラー提携のローンだけでなく、銀行や信用金庫など多様化しています。「2.9%」を切るローンが利用できる場合もあるので、慌てないでローンの種類や無理のない返済計画について、じっくり比較検討して選びましょう。

実質年率「2.9%」ってどうなの?

自動車ローンに限らず、CMなどで「特別」「期間限定」などと目にすると、つい反応してしまいますよね。力を入れてCMされているだけあって、こういったキャンペーン金利は実際かなりお得なもの。しかし、あなたが利用可能な自動車ローンの中で最も「お得」であるとは限りません。「期間限定」に急かされて慌ててお店に走る前に、イー・ローンなどのローン比較サイトで、より低金利で利用しやすいローンがないか検索してみましょう。

たとえば、イー・ローンのサイトでHさんがお住まいの「大阪府」を条件に新車購入ローンを検索してみると、最優遇金利が適用されれば、変動金利なら実質年率1.8%~、固定金利なら実質年率2.0%~のローンがピックアップできます(平成24年2月24日現在)。

【参考リンク】

実質年率2%と2.9%では下表のように総返済額で約37,900円の差がつきます。それぞれのローンによって金利優遇の条件は異なり、利用できる地域が限定される場合もあるので、ローンの詳細をよくチェックする必要がありますが、少しでも利息負担を減らしたいなら、比較検討のひと手間は惜しめませんよね。

<マイカーローンの実質年率の違いによる利息負担額の違い>
設例:「FIT HYBRID」メーカー小売希望価格159万円を購入。
返済期間60か月(5年)でローンを利用した場合。
  実質年率 毎月返済額 返済総額 総利息負担額
ローンA 2.9% 28,500円 1,709,977円 119,977円
ローンB 2.0% 27,869円 1,672,148円 82,148円

※表は筆者作成。イー・ローンシミュレーションにて試算。最終の毎月返済額は表掲載の数値と異なる場合があります。

【参考リンク】

マイカー購入の資金計画は無理なく、無駄なく

さて、マイカー購入にローンを利用するなら、ローン選びとともに資金計画を立てることが必要です。同じ金利のローンであっても、借入額が大きいほど、返済期間が長いほど金利負担は重くなります。下表のように、借入額が同じでも返済期間が3年と5年の場合では、毎月返済額で約17,600円、総利息負担額で約47,900円の差がつきます。返済期間が7年になると、3年の場合に比べて総利息負担額は約96,700円も多くなります。

かといって、無理に借入額を抑えて返済期間を短くすれば毎月返済額が多額になり、家計を圧迫しかねません。まずは、イー・ローンの「借入可能額シミュレーション」などを利用して、家計に無理のない返済額から借入可能額を試算し、割り出したうえで、希望しているクルマが家計に対して高額すぎないかどうか、確認することからはじめてみてはいかがでしょうか。

無理があるようなら、購入する車種をもう少し低価格のものにするとか、もう少し頭金を貯めてから購入するなど、計画をアタマから練り直しましょう。無理がないようなら、「返済額シミュレーション」などを利用して、家計に無理がなく、かつ、金利負担がもっとも抑えられる返済期間をきめていくとよいでしょう。

<マイカーローンの返済期間の違いによる利息負担額の違い>
設例:「FIT HYBRID」メーカー小売希望価格159万円を購入。
実質年率2.9%でローンを利用する場合。
返済期間 毎月返済額 返済総額 総利息負担額
36か月(3年) 46,169円 1,662,087円 72,087円
60か月(5年) 28,500円 1,709,977円 119,977円
84か月(7年) 20,938円 1,758,755円 168,755円

※表は筆者作成。イー・ローンシミュレーションにて試算。最終の毎月返済額は表掲載の数値と異なる場合があります。

【参考リンク】

残価設定ローンを選んだ方が良い場合も

自動車の利用のしかたによっては、残価設定ローンを利用したほうが有利な場合もあります。

残価設定ローンとは、車の価格から3~5年のあらかじめ選択した期間後の下取り価格(残価)を差し引いた残額にローンを組むというもの。本来の車の価格のローンを組むよりも、選択した期間中の毎月返済額は低く抑えられます。選択した期間が終了すると、車を返す、車を返して別の車に乗り換える、車を買い取る、の3つの選択肢があります。

車を買い取らない場合は残価を支払う必要がないので、選択期間後は車が不要になる、あるいは乗り換える場合は、残価設定ローンが有利になるでしょう(返却時の走行距離や査定減点数などによって負担金が生じる場合もあります)。車を買い取る場合はローン最終回に残価を一括して支払うことになります(または再クレジットして分割払い)。 詳しくは、以前の「FPからのアドバイス」に掲載されていますが、自分で買い取るつもりであれば、通常の自動車ローンを組んだほうが有利になる場合が多いので、注意が必要です。

【参考リンク】

このように、広告などの「特別」な金利が、あなたにとって最もお得なものものとは限りません。車の利用のしかたやこれからの家計からどのように「車費」を支出していくかを考えて、複数のローンやプランをよく比較した上で、無理のないマイカー購入計画を立て、実行していかれるとよいでしょう。

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2012年02月24日