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第1092回

マイカーローンの繰上返済、シミュレーションで効果をチェック

マイカーローンを返済中です。金利上昇のニュースを耳にするたびに、今後の返済が不安になります。「お金に余裕があったら、繰上返済すれば?」と友人に言われましたが、どれくらい効果があるのでしょうか。(愛知県 Kさん)
まとまった金額を臨時返済することでローン残高を減らす「繰上返済」の効果は、シミュレーションツールを使って確かめることができます。利用するローンによって繰上返済の条件や手数料は異なります。新たにマイカーローンを利用する場合は、繰上返済についての情報も確認しておくとよいでしょう。

まとまった金額の返済で、利息負担を減らす「繰上返済」

金利引き上げのニュースを耳にすることが多くなり、特に変動金利型のローンを利用中の方は今後の金利上昇・ローン返済について不安を感じる方も多いかもしれません。ボーナス等でまとまった金額を用意することができるなら、「繰上返済」を活用してローン残高を減らし金利負担を減らすことを検討されてはいかがでしょうか。

繰上返済とは、毎月返済額とは別にまとまった金額を支払うことによってローン残高を減らし、利息負担を減らす方法です。ローン残高の一部の返済を繰り上げる(一部繰上返済)ことも、その時点のローン残高のすべての返済を繰り上げる(一括返済)こともできます。

一部繰上返済には、毎月の返済額を変えずに返済期間を短縮する「期間短縮型」と、返済期間は変えずに毎月返済額を変える「返済額軽減型」があります。

なお、繰上返済よりも、低金利のローンへの借り換えのほうが、利息負担軽減の効果が高い場合もあります。高金利のローンを借りている場合などは、「借り換え」のシミュレーションでその効果も確かめて、ローンの見直し方法を検討されたほうがよいでしょう。

繰上返済の効果

繰上返済の効果について、試算したものを比較してみましょう。

期間短縮型のほうが利息軽減効果は大きい

繰上返済は、表1のように、毎月返済額を変えず、返済期間を短縮する「期間短縮型」のほうが、利息軽減効果は高くなります。

しかし、たとえば、変動金利タイプのローンを利用中、金利が見直されて毎月返済が上昇、毎月の家計の負担になってきた…という場合には、「返済額軽減型」のほうが向いているかもしれません。

表1の例では、返済総額の軽減効果は「期間短縮型」は-3.6万円と、-2.1万円である「返済額軽減型」よりも大きくなっています。一方、「返済額軽減型」を選べば、毎月返済額は3.6万円が2.5万円へと、1万円以上少なくなります。

<表1 期間短縮型と返済額軽減型>
例:当初の借入額200万円 金利2% 返済期間60カ月 元利均等返済 返済開始月2024年1月 繰り上げ額50万円の場合
繰上返済なし 12カ月後に繰り上げ
期間短縮型 返済額軽減型
完済予定月 2028年12月 2027年9月
(-1年3か月)
2028年12月
毎月返済額 3.6万円 3.6万円 2.5万円
(-1.1万円)
返済総額 211万円 207万円
(-3.6万円)
209万円
(-2.1万円)

早めに実行したほうが、利息軽減効果は大きい

ほかの条件が同じなら、繰上返済は早めに実行したほうが、利息軽減効果は高くなります。

表2は、返済期間60カ月で利用しているローンを、12カ月(1年)後あるいは24カ月(2年)に100万円繰上返済した場合の試算結果です。

返済総額を比較してみると、12カ月後であっても、24カ月後であっても、期間短縮型のほうが、利息軽減額が大きいことがわかります。また期間短縮型の返済総額を比較してみると、24カ月後よりも12カ月後のほうが、約4万円少ないことがわかります。

<表2 繰上げ時期による違い>
例:当初の借入額200万円 金利4% 返済期間60カ月 元利均等返済 返済開始月2024年1月 繰り上げ額100万円の場合
繰上返済なし 12カ月後に繰り上げ 24カ月後に繰り上げ
期間短縮型 返済額軽減型 期間短縮型 返済額軽減型
完済予定月 2028年12月 2026年6月
(-2年6か月)
2028年12月 2026年7月
(-2年5か月)
2028年12月
毎月返済額 3.7万円 3.7万円 1.5万円
(-2.3万円)
3.7万円 0.8万円
(-3.0万円)
返済総額 221万円 210万円
(-11.7万円)
213万円
(-8.4万円)
214万円
(-7.6万円)
215万円
(-6.3万円)

イー・ローンのシミュレーションでは、借入額や返済期間、繰上返済の金額や実行時期などを入れ替えて、試算することができます。さまざまな条件で試算し、無理なく実行できて利息軽減効果の高いプランを考えられるとよいでしょう。

一括返済で返済負担から解放

思いがけずまとまった金額が用意できた場合や、返済が進んでローン残高も減ってきているという場合には、一括返済できないか、試算してみましょう。まだまだ返済が続くと思っていたら、思ったよりも少ない金額で完済できるかもしれません。表3のように、36か月後に85万円が準備できれば、金利4%のローンを一括返済し、返済期間を2年短縮できます(手数料等は考慮していません)。

なお、一括返済で毎月の返済が終わったら、できれば毎月の返済に充てていた金額(その一部でも)を、次のマイカー購入に向けて積立てて貯めておくとよいでしょう。次回の購入時に再びマイカーローンを利用する場合でも、借入額が少なければ、ローン金利が上昇していたとしても返済負担を抑えることができるでしょう。

<表3 36か月後に一括返済>
例:当初の借入額200万円 返済期間60カ月 元利均等返済 返済開始月2024年1月 金利2%のローン、金利4%のローンを36か月後に一括返済する場合
36カ月後に一括返済
金利4%のローン 金利2%のローン
当初の完済予定月 2028年12月 2028年12月
当初の返済総額 221万円 211万円
一括返済予定月 2026年12月
(-2年)
2026年12月
(-2年)
繰上返済額 85万円 83万円
一括返済時の返済総額 218万円
(-3.6万円)
209万円
(-1.8万円)

繰上げ返済の手数料は、商品や手続き方法によって異なる

このように繰上返済はローンの利息負担を軽減する有効な方法です。ただし、ローン商品によって、繰上返済を実行する条件や手続方法には違いがあるので注意が必要です。

繰上返済の手数料については、「どの場合も無料」というローンもあれば、「一部繰上返済は3300円、一括返済は5500円。ただし、インターネットやスマホアプリでの手続きなら無料」など、条件によって異なる手数料設定がされている場合があります。

また1回の繰上額に条件が決められているもの、一括返済は可能だが一部繰上返済は不可、というローンもあります。

ローン利用中で、繰上返済を計画されている方は、まずは、利用中のローンの繰上返済の条件をチェックして、なるべく負担の少ない手続き方法を確認しましょう。

これからマイカーローンを利用される方は、繰上返済をする可能性も考えて、繰上返済の利用条件や手数料なども、マイカーローン選びのチェックポイントとされるとよいでしょう。

【参考リンク】

私が書きました

大林 香世 (おおばやし かよ)

ファイナンシャル・プランナー(CFPR)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー。

大学卒業後、教育系出版社に入社、教材・雑誌編集などを担当。その後、独立系FP会社を経て、2000年春より独立系FPとして、ライフプラン全般の相談業務や雑誌・HPのマネー系コラムの執筆などを行っている。

※執筆日:2024年08月08日