第985回
地方銀行の無担保ビジネスローンの特徴は?個人事業主でも大丈夫?
- 個人事業主として4年前から物品の仕入・販売業を営んでいます。今後事業の拡大を図ろうとするときに、金融機関から融資を受けることが予想されます。借入先として、近年、地方銀行も無担保のビジネスローン領域に力を入れているという話を耳にしました。地方銀行のビジネスローンについて教えてください。(群馬県 40代 男性)
- 個人事業主の方が、無担保で事業資金を借りることができる金融機関はさまざまありますが、地方銀行でも取り扱いをしています。地方銀行等から個人事業主のような事業規模の小さい事業者が事業資金の融資を受ける時は、公的機関である信用保証協会などの保証付き融資を受ける場合が多いですが、独自の無担保ビジネスローンを提供している地方銀行もあります。
地方銀行が提供している無担保ビジネスローンの特徴は?
個人事業主のような中小事業者が銀行等から無担保で事業資金を借りる場合、信用保証協会の保証付き融資や、地方自治体の制度融資、日本政策金融公庫の融資を受けることが多いですが、金融機関が独自に提供している無担保ビジネスローンもあります。近年では、地方銀行も独自のビジネスローンに力を入れていると言われています。
地方銀行の個人事業主向け無担保ビジネスローンの一般的な借入条件等は、以下のようになっています。
年齢条件 | 借入時20歳以上完済時75歳以下 |
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申込資格 | ・A銀行に普通預金か当座預金口座ある方(融資との同時申込時も可) ・安定的・継続的に収入がある方 ・保証会社の保証が受けられる方 |
地域 | A銀行の営業区域内で居住、または事業を営んでいる方 |
資金用途 | 事業資金に限定(使いみちは自由) |
担保・保証人 | 不要 |
来店 | 要 |
必要書類 | 所定の本人確認書類 所定の所得確認資料(借入金額が300万円以下は不要) |
借入可能額 | 10万円~500万円(1万円単位) |
借入期間 | 6ヶ月~10年(1ヶ月単位) |
金利 | 4.8%~13.5%(審査により決定) |
金利タイプ | 固定金利 |
返済方式 | 毎月元利均等返済 |
団体信用生命保険 | なし |
保証料 | 込み(融資利率に含まれる) |
融資事務手数料 | なし |
印紙代 | 融資金額に応じて負担あり |
銀行によって各項目の内容に異なる部分はあるものの、概要として上記の通りで、ノンバンクが提供している無担保ビジネスローンとも似ています。
地方銀行では、「その銀行の営業区域内に住居や職場があること」などとして地域を限定していること、「基本的に手続きに来店が必要」などの共通点があります。銀行に出向く必要があることは、手間がかかる反面、銀行の担当者と対面して相談することなどもできることから、借り手として安心できるとも言えるでしょう。
事業資金の借り入れは、精緻な資金計画に基づいて、極力負担の小さいものを選ぶ!
事業資金を借りるときには、最初から借りる金融機関を決めるのではなく、まずは綿密な事業計画に基づいた資金計画を作成し、ムリのない範囲で借入金額を決め、複数の金融機関が取り扱っているさまざまな商品を比較、検討した上で、目的に適したものや、できるだけ返済条件等が有利なものを選ぶようにしましょう。
長期間、低金利の借り入れをしたい場合は、信用保証協会の保証付き融資や、地方自治体の制度融資、日本政策金融公庫の融資などが適しているでしょう。ただ、関わる組織が多くなることなどから、融資の実行までに時間がかかることに留意する必要があります。
融資実行までに時間的なゆとりがない場合には、金融機関が独自に提供している融資が適していますが、不動産担保ローンのように担保を設定することができれば、比較的低金利で長期間の借り入れができます。担保がない場合は、銀行やノンバンクの無担保ビジネスローンを活用することになりますが、金利は高めになりがちです。また、運転資金不足等で一時的に急を要する資金を調達するには、カードローンやフリーローンを活用する方法もあります。
事業資金を将来借り入れる可能性がありそうなら、日頃から融資の種類やそれぞれの特徴、借入条件等を調べておいて、実際に借りるときには、その時の状況や目的に合わせて、すぐに選べるようにしておくとよいでしょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー。FPオフィス・ワーク・ワークス 代表。
教育出版社勤務後、2003年にファイナンシャルプランナーとして独立。「お客様のお金の不安を解消する」をモットーに、1,500件を超える個人相談、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿等を中心に活動。無料メルマガ「生活マネー ミニ講座」を配信中。著作 「自分のお金の育て方」(祥伝社)、「老後に破産する人、しない人」(KADOKAWA中経出版)。
※執筆日:2022年07月19日