第713回

確定申告の時期は資金調達のチャンス?

個人事業主として学習塾を経営して8年目です。 効率よく授業をできるよう、新学期に向けて電子黒板を授業で使えるようにして設備を整え、生徒を増やせたらと考えています。 資金調達はどのような方法がありますか?(Tさん 学習塾経営 52歳)
新年度に向けてさらなる事業拡大をお考えとのこと、ちょうど確定申告の時期に事業内容や資金計画を見直す良い機会です。 新学期に間に合うように資金調達方法として、審査期間が短い無担保のビジネスローンを検討してはいかがでしょうか。

急ぎの事業資金にはビジネスローンを検討

事業拡大を検討されているTさん、比較的金利の低い政府系の公庫融資は、融資が決まるまでに数週間かかるのが普通ですので、新学期に間に合わせるのは難しいかもしれません。 事業拡大にはタイミングも重要ですので、このような場合は審査期間が短い無担保のビジネスローンで早目に資金調達をするも良いのではないでしょうか。

無担保のビジネスローンは個人事業主や自営業でも利用でき、金利は公庫融資より高めですが手続きにあまり手間がかからないため、急ぎの資金調達方法としては便利です。 また、ビジネスローンの中にはカード発行タイプの商品もあり、いざという時のための資金調達方法として事前に準備できる特徴があります。

ビジネスローンの審査には確定申告書が必要

個人事業主がビジネスローンの申し込みをすると、本審査では通常過去2年分程度の確定申告書が必要になりますので準備しておきましょう。 2月後半はちょうど確定申告シーズンですが、個人事業主にとって確定申告は1年間の事業内容を振り返る良い機会です。売り上げは順調に増えているか、経費は適切な額か、利益は計画通り出ているか、などをチェックしましょう。 また、今後の事業計画を見直すチャンスでもありますので、Tさんのように今後の事業拡大に向けた資金調達を検討してもよいでしょう。

但し、事業資金を借りる場合は、きちんと返済計画を立てて資金繰りがうまくいくかを確認しておくことが大切です。 一般的に借入資金の利息は経費に計上できますが、なるべく金利の低いビジネスローンを選びましょう。

平成28年度分確定申告からマイナンバー記載が必要

ご存知の通り、平成28年度の確定申告からマイナンバーの対応が必要となっています。 申告者本人のマイナンバーの他、配偶者(特別)控除対象となる配偶者、扶養控除対象の扶養親族、住民税に関する16歳未満の扶養親族、事業専従者にもマイナンバー記載欄がありますので、忘れずに記載しましょう。

また、申告書提出の際にも本人確認書類の提示が必要です。提出方法別の必要書類をまとめましたので参考にして下さい。

平成28年度分確定申告時に必要な本人確認書類
  マイナンバーカードを持っている場合 マイナンバーを持っていない場合
 持参する場合 マイナンバーカードの提示で本人確認完了 下記1,2両方が必要
1<番号確認書類>マイナンバー通知カード、マイナンバーが記載している住民票等のいずれか1つ
2<身元確認書類>運転免許証、公的医療保険の被保険者証、パスポート、在留カード等のいずれか1つ
 郵送する場合 マイナンバーカードの表面、裏面の写しを添付 上記1,2の書類の写しを添付
 e-Taxの場合 電子証明書で本人確認を行う為、本人確認書類の提示又は写しの提出は不要(※事前にマイナンバーカードの電子証明書をe-Taxに登録する必要あり)

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福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2017年02月20日