第681回
個人事業主の方注目!ビジネスローンの借り入れに必要な「借入計画書」とは?
- 個人事業主です。ビジネスローンで事業資金を借り入れたいと考えています。すでに貸金業者から借り入れがあっても借りられると聞きました。どうすればいいのでしょうか?(Fさん 35歳)
- 貸金業者からの借り入れは年収の3分の1までという総量規制があります。しかし、事業資金は「借入計画書」を提出することで、総量規制の適用外として上限金額に規制なく借り入れられる可能性があります。「借入計画書」とはどのようなものか、作成するために把握しておくべきことを知っておきましょう。
個人事業主の事業資金は総量規制の適用外!
貸金業者(消費者金融業者、クレジットカード業者など)からの借り入れに適用される総量規制は、借りすぎ・貸しすぎを防いで多重債務者をなくすための規制で、平成22年6月に導入されました。この規制により、貸金業者からの借り入れは、原則年収の3分の1までに制限されました。 しかし例外が複数あり、個人事業主の事業資金もその1つです。事業資金も総量規制の適用範囲内にしてしまうと、個人事業主の事業活動を阻害する可能性があるからです。ただし、無条件というわけではありません。
総量規制の例外となるためには一定の要件を満たす必要がありますが、その1つに「借入計画書」の提出があります。これは、事業計画・収支計画・資金計画を記載した書類で、貸金業者が返済能力の判断に利用します。 借入目的で様式が異なり、[1]事業資金、[2]事業資金(短期)、[3]つなぎ融資、[4]創業資金 の4種類あります。日本貸金業協会のホームページに、最低限記入すべき事項についてのフォーマットが掲載されています。エクセルファイルをダウンロードすれば、そのまま打ち込めて便利です。
借入計画書の内容と書き方のポイントはココ!
借入計画書の様式を目的別に見てみましょう。[1]事業資金 から [3]つなぎ融資 はすでに個人事業を営んでいる方向けで、[1]事業資金 は返済期間が1年超の中長期、[2]事業資金(短期) は1年未満の短期、[3]つなぎ融資 は資金繰りの見通しが立っていて、それまでの間のつなぎ用です。 [4]創業資金 はこれから個人事業を始める方向けです。それぞれの主な記入項目と書き方のポイントを紹介しましょう。
[1]事業資金 から [3]つなぎ融資 の「事業の現状と見通し」の記入項目は、ほぼ共通しています。
・今年度の見通し… 「前年度並み」、「前年度より上向き」、「その他」からの選択方式です。
・今後の見通し… 記述式です。フォーマットに記入例があるので、それを参考に書きます。借り入れを受けるに値する事実を、借入先の担当者が納得できるように書く必要があります。具体的で事実に基づいた内容の記載をし、思い込みや希望的観測に基づく内容を書くのは避けましょう。
なお、[2]事業資金(短期)は「収支の見通し」も含めての記載が求められるので、それに関する内容も盛り込みます。
[1]事業資金 と [3]つなぎ融資 は「収支の見通し」の記入欄が設けられています。前期・当期・来期以降の売上金額・売上原価・経費等を記入します。あらかじめ、確定申告書や記帳している帳簿類を基に計算しておきましょう(来期以降は予想)。
「資金繰りの見通し」では、[1]事業資金 は当期と来期以降の資産の売却による入金や資産購入による出金、金融機関からの借り入れ・返済の記入欄があるので、これらが分かる書類を用意して計算しておきましょう(来期以降は予想)。[3]つなぎ融資 は、つなぎ融資を受けるまでに掛かる支払いと回収できる金額を細かく記入する欄があるので、これもまとめておいてください。
[2]事業資金(短期) には「借入計画」(注文先と内容、工事日、借入希望日、借入希望金額、入金予定日、返済予定日)と「資金繰り」の記入欄があります。これらに関する内容もまとめておきましょう。
[4]創業資金 は、これから事業を始めるわけですから、予想が多くなりますが、収支の見通し、創業時の資金繰りの見通し、創業のために必要な費用、創業以降の資金繰りの見通しは、きちんと事業計画を立てたうえで予想して記入しましょう。
なお、あくまで借入先の貸金業者の判断で決定されるので、借入計画書を提出したからといって、必ず借りられるわけではありません。借入計画書の作成は事業運営を見直すチャンスでもあります。見通しをしっかり立て、健全な資金繰りを目指しましょう。