第559回
個人事業主の方必見!確定申告の準備は?迷わない必要経費のポイントとは?
- 脱サラをして1年が経ちました。今年初めて、個人事業主として確定申告を行ないます。これまで、何が経費になるかを確認して、きちんとメモも残し、領収書も毎月保管してきましたが、いざ本番となると不安です。経費の計上漏れをなくして、税金を余計に払わなくてもいいようにしたいと思っています。気をつける点があれば教えて下さい。
- 初めて個人事業主として確定申告をするときは、売上や経費が正しく、漏れなく計上できているかどうか不安な点も多いと思います。経費になる項目のなかで見落としがちなものもあるので、最初の確定申告からしっかりと計上して漏れのない、正しい申告をするようにしましょう。また、利益が上がる場合には、できるだけキャッシュを手元に残すために、節税の工夫もするようにしましょう。
個人事業主が申告時に見落としがちな経費は?
個人事業主の方は、事業の内容によって経費の種類がさまざまです。お店を経営している人は、製品や材料を仕入れるための経費がかかるでしょうし、人を雇っているときには給料や社会保険料の支払いもあります。設備や資産を仕事に使っている場合には減価償却費などの計上も必要になります。事業の形態によってそれぞれ注意すべき点や見落としがちな経費がありますが、ここでは自宅で1人で仕事をしている個人事業主の方の見落としやすい経費や迷いやすい経費を整理してみましょう。
基本的な考え方は、「業務上使用するものは経費にすることができるが、そうでないものは認められない」ということです。自宅で仕事をしている人は、職住一体になっているために、生活費と仕事の経費の境界があいまいになりがちです。
費目 | 解説 |
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自宅の家賃、更新料 | 事務所として使用している面積の割合分を経費計上 |
自宅の火災保険料 | |
自宅の固定資産税 | |
電気代、固定・携帯電話代、 インターネット接続費など |
仕事で使用している割合(時間など)に応じて経費計上 |
仕事で着るスーツや靴 | 仕事以外でも着用できるため、経費として認められない |
自動車購入費 | 仕事で使用している場合も購入価格は経費計上できないが、数年かけて経費計上(使用割合に応じた減価償却費)をすることができる |
自動車の月極駐車場代、 高速道路代、ガソリン代、 車検代、修理代、自動車保険料 |
仕事で使用している割合に応じて経費計上 |
業務上の借入金 | 借入金額は経費に計上できませんが、利息は経費計上をすることができます |
「収入(売上)」から「経費」を差し引いた事業所得の金額が小さいほど、納税額を少なくすることができるため、計算は少し面倒でも、経費は漏れなく計上するようにしたいものです。
青色申告をすると所得税が節税できる!
経費を漏れなく計上して余計な税金を払わなくていいようにするだけでなく、「特別控除」の仕組みを使って節税をすることもできます。
個人事業主の確定申告には、「白色申告」と「青色申告」がありますが、「青色申告」を申請すれば、10万円あるいは65万円の特別控除を受けて節税をすることができます。
白色申告 | 青色申告 | ||
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特別控除額 | なし | 10万円 | 65万円 |
届出の必要 | なし | あり 「青色申告承認申請書」を税務署にて提出 |
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届出の期限 | なし | □新規開業の場合 ・開業日が1/1~1/16の場合は、その年の3/15まで ・開業日が1/16以降の場合は、開業から2ヶ月以内 □白色申告からの切り替えの場合 ・青色申告をしようとする年の3/15まで |
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帳簿の記帳義務 | あり※ (簡易簿記) |
あり (簡易簿記) |
あり (正規の複式簿記) |
決算書の作成 | なし (収支内訳書) |
「貸借対照表」「損益計算書」 | |
純損失の 繰越しと繰戻し |
なし | ・損失が生じたら翌年以降3年間に渡って所得と相殺できる(繰越し) ・前年も青色申告をしていた場合、損失を前年所得を相殺できる(繰戻し) |
※平成26年1月より(平成25年までは所得300万円超から必要)
青色申告の65万円の特別控除を受けるには、正規の複式簿記による記帳をしなければなりません。キッチリと記帳をするのは面倒臭いと感じるかもしれませんが、事業を行う上で、経理の知識は必要です。経理の知識を身につければ、経営数字を常に意識した仕事をすることができます。確定申告での納税額に配慮しながら「どのタイミングで、どんなお金を使うのが適切か?」を判断し、戦略的なお金の使い方ができるようになるはずです。
事業の内容が大きく変わらないならば、使う機能や経費の種類も限定されるため、会計ソフトを購入して基本的な操作を習得すれば、さほど抵抗なく記帳の習慣を身につけることができるでしょう。
今回の申告で間に合わないにしても、来年の確定申告に向けて青色申告を申請してみてはいかがでしょうか。