第327回

不動産担保ローンの審査から申込までの流れ

景気が回復するまでには、まだ時間はかかりそうですが、こういった時代だからこそ、設備投資をして会社の基盤をしっかり整えたいと思っています。1,000万円程度の資金調達を検討していますが、不動産を担保にローンを借りるなら、比較的時間をかけずに融資が受けられると聞きました。どのようなローンなのでしょうか?(Yさん 48歳 会社経営)
自宅や土地など所有している不動産を担保にお金を借りられるのが「不動産担保ローン」です。審査はスピーディーで、正式な申込みから最短1週間程度でお金を借りることが可能。不動産を担保にすることで、有利な条件でお金を借りることができます

スピード融資が可能で、ゆとりある返済計画が立てられる

通常、事業資金を借りるときには、事業計画や設備投資の見積もりなど、さまざまな書類を準備しなければならず、 審査にも時間がかかります。しかし、円滑に事業を進めていくためにはスピードが重要。 また、当然借りたお金は返していかなければなりませんから、しっかりした返済計画を立て、 無理な借り入れをしないことが、事業を存続していくうえで大切になります。そこで検討したいのが「不動産担保ローン」です。

不動産を担保にしてお金を借りるため、金利は比較的低く、借入金額の上限は大きく設定されています。 さらに返済期間も長めに設定できますので、ゆとりある返済計画を立てることができます。 一般的に使いみちが制限されていないものが多く、設備投資だけでなく、資金繰りに利用することも可能。 また、オンライン申込みなら2営業日以内に仮審査の結果がわかるなど審査がスピーディーで、 正式な申込みから最短1週間程度でお金を借りることも可能です。

効率的に時間を使うために仮審査から申込みまでの流れを把握する

不動産担保ローンの中には、オンライン申込みで仮審査を受けることができるものもあります。 申込みから2営業日程度で結果がわかるため、忙しい経営者にとっては効率的に時間を使うことができ便利です。

仮審査にあたっては、以下のような情報が必要になります。事前に確認しておくと、スムーズに手続きできますので、準備しておきましょう。

<オンライン申込み時に必要な主な情報>

借り入れる人・会社の情報

担保となる物件の情報

・申込者(氏名及び会社名)
・会社所在地
・年商
・会社設立日
・借入希望金額
・借入目的
・連絡先(電話及びメールアドレス)など

・物件の所在地
・物件の種類
・物件の利用状況
・物件の面積(敷地・建物)
・物件の建築年月日
・物件の借入状況
・物件の所有者など

また、仮審査をパスすることで正式な申込みとなります。 その際には、本人確認の資料(免許証や健康保険証など)・収入関係証明書(決算書など)・住民票・登記簿謄本・公図などが必要です。 市区町村や法務局(登記所)に出向かなければ準備できないものもありますので、そちらの準備も並行して行っておきましょう。

返済計画をシミュレーションし、相談にのってくれる会社を利用しよう

不動産担保ローンは、返済に行き詰まると、その不動産を手放して返済するという事態になりかねません。 また、返済が行き詰まるということは、事業にも影響するということになります。 そのため、当然のことながら、しっかりとした返済計画を立てておくことが重要です。

返済シミュレーションができるウェブサイトもありますので、いくつかのパターンをシミュレーションしてみましょう。 また、不動産を担保にするため、登記費用や印紙代のほかに融資手数料などの諸費用がかかります。 月々の返済額だけでなく、総額どれくらいかかるのか把握しておくことも大切ですから、そういったことも事前に調べておきたいところです。

専門の金融機関であれば、電話等でさまざまなことの相談にのってくれます。 また、事業は継続するものですから、借りるときだけでなく、借りた後も相談できる場があることは、事業をしていくうえでひとつの安心材料になるでしょう。

私が書きました

中森 順子 (なかもり じゅんこ)

ファイナンシャル・プランナー。

プログラマー・SEを経験後、結婚を機に税理士事務所へ転職。企業の税務・社会保障・融資のサポートなど幅広く経験。個人のお金に関する相談が増えたことから、FP資格を取得。10年勤務後、個人の家計サポートに集中すべく、2003年に独立。住宅購入や資産運用、保険見直しなど、自分自身の経験も交え、執筆・セミナー・相談と幅広く活動中。家計診断は500件以上の実績あり。

※執筆日:2009年07月30日