第298回
厳しさが増す中小企業融資。資金調達方法は?
- これまで、手元資金で何とかやりくりしてきましたが、年度末を控え、運転資金の借り入れが必要になりそうです。中小企業向けの融資は厳しいと思いますが、実際のところどうなのでしょう?また、どんな資金調達方法があるのか教えてください。(H.Nさん 40歳・中小企業経営)
- 金融機関を取り巻く環境は、厳しくなる一方です。それに伴って、金融機関の貸出態度も慎重さを増しています。そこで、中小企業融資の現状と国の対策、資金調達方法について見ておきましょう。
金融機関の貸出態度は慎重化!
中小企業は、運転資金の約7割を外部調達に依存しているそうですから、金融機関の貸出態度が中小企業の命運を左右すると言えるでしょう。
世界経済の停滞、そして、国内経済の不振などで企業業績は全般的に悪く、倒産も増えているなどの理由から、金融機関の貸出態度は慎重化の度合いを強めています。この傾向は、中小企業融資に、より顕著に現れているようです。それは、日銀の短観(全国企業短期経済観測調査)の「金融機関の貸出態度判断DI(全企業)」の数値が、2008年12月は「マイナス9ポイント」で、前回調査(2008年9月)の「マイナス3ポイント」から6ポイント下がっていることで見て取れます。
こういった中小企業の資金調達が厳しい現状を受け、国は、1.中小企業や小規模企業の資金繰りに不安がないよう30兆円規模の保証・融資枠を確保する 2.金融機関が中小企業や小規模企業の実態を踏まえた融資を行うよう周知徹底を要請する 3.各地の経済産業局に「中小企業金融貸し渋り110番」を開設するなどの対策を講じています。また、中小企業や小規模企業の軽減税率の時限的引き下げなどの税制面から幅広く支援する体制を整えました。国の政策が功を奏して、中小企業の資金繰りが円滑になってくれるといいのですが……。
資金調達方法は、大きく分けて2つ
中小企業の資金調達方法には、大きく分けて公的融資と民間融資の2つの方法があります。
公的融資は、日本政策金融公庫、信用保証協会、商工会議所、自治体などの公的機関が直接融資を行う、あるいは金融機関から融資を受ける際に債務の保証人になってくれるなどで、中小企業の資金調達をバックアップするものです。民間融資は、銀行などの民間金融機関の融資で、「ビジネスローン」と呼ばれる融資もここに含まれます。
公的融資は、融資枠が比較的大きく、金利も低めですから、こちらの融資から検討してみるといいでしょう。また、いざというときのために、公的融資よりも比較的素早く対応をしてもらえる「ビジネスローン」についてもきちんと確認し、急な資金需要にも対応できるようにしておきましょう。