第168回
法人と個人事業 ビジネスローンの違いは?
- 現在は個人事業主ですが、新会社法の施行を機に株式会社を設立しようかと考えています。法人にするとビジネスローンが借りやすくなるのでしょうか?
ビジネスを拡大していく上で資金を必要としたときに、頼りになるのがビジネスローン。新会社法で従来よりも会社設立の基準が緩やかになりましたが、借り入れの利便性なども考えて法人化を検討している人もいるでしょう。ビジネスローンを借りるときに、法人と個人でどのような違いがあるかみてみましょう。
新会社法とは?
これまでも会社設立時の資本金が最低1円でよいといういわゆる「1円起業制度」がありましたが、設立から5年以内に資本金を株式会社は1,000万円、有限会社は300万円以上に増やさなければなりませんでした。それが今回の改正で最低資本金の規定が撤廃され、ルール上は資本金ゼロでも会社を設立できるようになりました。また、取締役は社長だけでも可能、取締役会と監査役の設置は任意、などの基準も設けられました。
法人のみを対象としたビジネスローン
三菱東京UFJ銀行の中小企業向け融資ビジネスローン「融活力」は、金利2.250%~8.000%と低水準の金利で最大5,000万円まで融資が可能です。申込資格は業務歴2年以上で、確定した決算書2期分を提出可能なこと、最新決算期において債務超過でないこと、などの基準があります。
オックスキャピタル「スピードビジネスローン」は無担保・無保証で最大500万円の融資が可能です。審査では3期分の税務報告書、代表者身分証明書、商業登記簿謄本などを提出し、原則3営業日以内に審査結果がわかります。また、借入申込書による仮審査で翌日に審査回答を得ることもでき、急を要するときにも便利です。
ニッシン「ベンチャー企業ローン」は、株式会社のみが対象で、新株予約権の交付を条件とし、最高3億円まで借りられるほか、ニッシンのグループ会社による上場支援も行っています。
実質年率 |
借入可能額 |
審査回答期間 |
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三菱東京UFJ銀行 「融活力」 |
2.250%~8.000%
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500万~5,000万円
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オックスキャピタル 「スピードビジネスローン」 |
6.000%~20.000%
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50万~500万円
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仮審査:翌日 本審査:3日程度 |
ニッシン 「ベンチャー企業ローン」 |
4.000%~19.800%
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3億円
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3日程度
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個人事業でも借りられるビジネスローン
殖産銀行「夢サポート3000」、青梅信用金庫「無担保ビジネスローン『法人さん』『商人さん』」、 日本振興銀行「振興ローン」 などの銀行融資では、青色申告者で貸借対照表を作成していれば個人事業主でも申し込みが可能です。銀行以外のビジネスローンでも、クレディアのビジネスローン、イッコーのI・B・Sローンなどがあります。
このように、個人事業主でも法人と同じような内容のビジネスローンを借りることは可能です。会社設立については借り入れのことだけでなく、今後の事業戦略を考慮して検討するようにしましょう。