第1124回NEW
個人事業主だけど従業員を雇いたい!どんな手続きが必要?
- 個人でWEB制作をしており、事業拡大のために従業員を雇用したいと考えています。法人化せず、個人事業主が従業員を雇用する場合、どのような手続きが必要になるのでしょうか?また、事業拡大のための運転資金も調達しなければなりません。どのような方法がありますか? (自営業・41歳)
- パート・アルバイトでも従業員を雇用するためには、多くの手続きが必要になります。労働条件の通知や社会保険、税務署への届け出など公的な手続きをしっかり行うことが大事です。また、事業資金を調達する際には、さまざまなローンがありますが、申込む前に事業計画を立て、必要な金額を明確にしておくことも大切です。

個人事業主が従業員を雇用する手続きは多岐にわたる
パート・アルバイトを問わず、従業員を1人でも雇用する際の主な手続きは以下のとおりです。
- 労働条件の通知
- 労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続き
- 社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)の加入手続き
- 税務署への届け出
- 源泉徴収の準備
労働条件の通知
従業員を雇用する際には、どのような労働条件なのかを明記し、書面で交付しなければなりません。これは労働基準法で定められたもので作成が義務づけられています。契約期間、就業場所、業務内容、就業時間、休日・休暇、賃金など、記載すべき項目が決まっています。
労働保険(労災保険・雇用保険)の加入手続き
労災保険は強制加入で、業務中、通勤中の事故や災害、ケガなどに対して適用される公的な保険です。保険料は雇用者負担となります。雇用保険の場合は、1週間の所定の労働日数が20時間以上で、31日以上の雇用の見込みがあれば、加入手続きをしなければなりません。保険料は労使折半となります。いずれも、労働基準監督署かハローワークに届け出をします。
社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)の加入手続き
個人事業主が従業員を常時5人以上雇用している場合、社会保険に加入しなければなりません。パート・アルバイトの場合でも、1日または1週間の労働時間で、1カ月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上であれば、加入しなければなりません。健康保険、介護保険、年金保険の手続きは日本年金機構(または年金事務所)に届け出を行います。保険料は労使折半です。
税務署への届け出
従業員を雇用し、給料を支払う際には所得税分をあらかじめ天引きし、源泉徴収を行うことが義務づけられています。そのため税務署に「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出が必要です。国税庁(管轄の税務署)が用意している用紙に記入して届け出をします。
源泉徴収の準備
上記の届け出をすると、源泉徴収した所得税の納付書が交付されますが、事業主は事前に従業員の扶養状況を確認しておきましょう。
初めてのことで戸惑うこともあるかもしれませんが、関係機関に相談し、間違いなく届け出をしましょう。社会保険労務士や税理士に委任することも検討してみるといいでしょう。
事業資金の調達に活用できる制度やビジネスローン
従業員を雇用すれば、給与の支払いはもちろんのこと、設備などの拡充も必要になってきます。また事業拡大に伴い、営業費なども必要になるでしょう。手元資金で準備できない場合は、新たな資金調達を考えなければなりません。
まずは、国や自治体の補助金、助成金で活用できるものがないか、調べておくといいでしょう。中小企業庁では、「中小企業・小規模事業者向けの支援策」を打ち出しています。なかでも「IT導入補助金」は、業務の効率化やデジタル技術、ITツール等の導入費用、ソフトウエアの購入やサイバーセキュリティサービス利用料などの支援が受けられる補助金制度です。内容を確認しておくようにしましょう。
大きな運転資金が必要であれば、日本政策金融公庫の一般貸付も選択肢となります。民間の金融機関に比べて金利が低いのが最大のメリットですが、融資が決まるまで3週間~1カ月程度の時間が必要です。
迅速に資金調達をしたい場合は、審査から融資実行までスピーディーに利用できる民間のビジネスローンを検討してみるといいでしょう。ビジネスローンは、運転資金や設備資金、短期のつなぎ資金など使い途が自由で、幅広い用途に利用することができます。借入可能額は商品によって異なりますが、無担保型の場合は500万円~1,000万円程度を上限とする金融機関が多いようです。
いずれにしても、事業拡大のために資金がいくら必要になるのか事業計画をしっかり立て、無理のない資金調達をするようにしましょう。
私が書きました

ファイナンシャル・プランナー。
大学卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)に入社。不動産、住宅、マネー情報誌の編集者、マーケティングプランナーを経て2003年独立。フリーランスで各種媒体のエディトリアルアドバイザーを務める。2013年沖縄移住後は、各種WEBサイトに不動産、ライフプラン、マネープランに関するコラムの執筆を中心に活動中。
※執筆日:2025年04月01日
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