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第785回

資金調達の新手法、クラウドファンディングを知る

親の代から続く食品会社を経営しています。 経営は順調ですが、将来を見据えて地元の食材を使った新商品を開発したいと考えています。 最近クラウドファンディングで資金を集める方法が話題ですが、どのようなものでしょうか。(会社経営 Aさん 46歳)
クラウドファンディングとは大衆(crowd)と、財政的支援(funding)を組み合わせた造語です。 ソーシャルファンディングともいい、ネット上で不特定多数の人から資金を集める方法として広がりを見せています。

クラウドファンディングとは?

新規事業を始める場合、まず頭を悩ませるのが資金調達ではないでしょうか。 一般的には金融機関から融資を受けますが、そのためには事業計画書や創業計画書などの書類をいくつも揃える必要があり、苦労して書類を作成しても審査を通過できるかどうかわかりません。 そこで最近注目を浴びている資金調達方法がクラウドファンディングです。

クラウドファンディングでは、プロジェクトの発案者が自分のアイディアや必要な資金(目標金額)をクラウドファンディングのサービスサイトに掲載します。 サイトを見てプロジェクトに賛同する支援者は、各々が可能な範囲で資金を提供していきます。 目標金額を達成するとプロジェクトが成立し、実行に移るという仕組みになっています。 クラウドファンディングで資金を集めることができれば、同時にプロジェクトに『共感』を得ることができたということに繋がり、事業の成功につながる可能性も高まるといえるでしょう。

クラウドファンディングの例

クラウドファンディングでは、資金を提供してくれた支援者へのリターンの型によって「寄付型」「購入型」「金融型」といった種類に分けられます。

「寄付型」は被災地支援や環境保護といった事案で、代表的な例ではNPO法人や大学などが発案するものがあります。 寄付という形で資金を集めますので基本的にリターンはありません。 「購入型」は映画やアート、商品開発などの事例が多く、プロジェクトに関する商品やサービスなどを購入する形で資金を集めます。 プロジェクト実行後には、発案者が支援者に事前の約束通り商品やサービスを提供します。 「金融型」は非上場株式に投資して株主になれるものや融資という形で資金を提供し、金利を得ることができるもの等があります。 主にベンチャー企業等が資金を集める方法として利用されています。

このようなクラウドファンディングを行う場合、専用のサービスサイトを利用します。 基本的に掲載は無料、集まった金額の5%から20%程度の手数料を支払うという仕組みが多いようです。 Aさんのように食品の商品開発や販売のための資金調達でしたら、「購入型」になると思われます。 サービスサイトにより得意分野も異なりますので、どのサイトが合うかを見極めて、サポート体制が充実しているところを選ぶと良いでしょう。

ビジネスローンでの資金調達も検討

クラウドファンディングで返済不要の資金を集めることができるなら、商品の宣伝にもなるので『いいことづくめ』だと思われるかもしれません。 しかしサイトに掲載されるまでの準備や、掲載から資金を得るまでの期間も必要となり、資金調達まで時間がかかります。

また目標金額が高いと目標まで届かない事例も見られます。 そこでクラウドファンディングだけで資金を賄おうとせず、ビジネスローンなどの手間をかけず利用できる資金調達方法も併用するのが現実的だと思われます。 新しい資金調達方法であるクラウドファンディングをうまく利用できれば、新規事業も成功につながるのではないでしょうか。

【参考リンク】

私が書きました

福島 佳奈美 (ふくしま かなみ)

ファイナンシャルプランナー(CFPR)。

大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務し、出産を機に退社。子育て中の2006年にファイナンシャルプランナー(CFPR)資格を取得する。その後、教育費や保険・家計見直しなどのセミナー講師、幅広いテーマでのマネーコラム執筆、個人相談などを中心に、独立系FPとして活動を行っている。

※執筆日:2018年07月17日