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第1109回NEW

事業資金の調達方法としてファクタリングとビジネスローンを比較!

事業資金を調達する方法としてファクタリングが注目されていますが、ビジネスローンとどのような点が違うのでしょうか?ファクタリングの注意点なども教えてください。(中小企業経営者 40歳)
近年、オンライン型のファクタリングが普及し、スピーディーな資金調達手段として、ビジネスローンに近くなっています。それぞれの違いや、ファクタリングの注意点などを整理してみましょう。

ファクタリングとは?

ファクタリングとは、事業者が保有する売掛債権(売掛金や受取手形など)を買い取ってもらい、資金を早期に現金化する金融サービスです。売掛債権を買い取ってくれるのがファクタリング会社で、売掛金から手数料を差し引いた金額が事業者に支払われます。売掛債権の回収もファクタリング会社が行いますが、支払いまでの期間が長くなりがちな業界や、急な資金不足に陥った時の資金調達法として注目されています。

資金調達までの期間が短かくて済むのはファクタリングの特徴です。あくまでも債権の買い取りのため、借り入れのような返済義務もなく、審査で重要視されるのは売掛先の信用力で、利用企業の信用力はさほど問われません。反対に、売掛先の会社が経営難だと買い取ってもらうことは難しくなります。担保や連帯保証人などが不要である点も大きな特徴です。

ファクタリングには、売掛債権を買い取ってくれる買取型と、売掛金の回収を保証してくれる保証型があり、「ファクタリング」という場合、一般的には買取型をさします。保証型ファクタリングは、売掛債権が回収できない場合に保証金が支払われるサービスで、保証料を支払います。

ファクタリングとビジネスローンの違いは?

ファクタリングとビジネスローンは、どちらも企業が資金調達を行う手段ですが、審査の対象などに違いがあります。

資金調達の仕組みとしては、ファクタリングが売掛債権の売却であり、ビジネスローンは金融機関からの借り入れです。審査対象は、ファクタリングが売掛先の信用力であるのに対し、ビジネスローンは、借入事業者の信用力や財務状況です。また、返済については、ファクタリングは売掛債権を売却する形で資金を得るため発生しないのに対し、ビジネスローンでは借入金の返済義務があります。

資金調達はいずれもスピーディーで、数日以内に資金を調達できる場合が多いです。コストについては、ファクタリングは「手数料」で、売却する売掛債権の金額から差し引かれる形で一括負担します。手数料率は取引先の信用状況や売却する売掛債権の金額などによります。ビジネスローンは借り入れに対する「利息」がコストで、毎月の返済時に元金に上乗せして負担します。適用金利が高いほど、期間が長くなるほど返済総額が大きくなります。

ファクタリングvsビジネスローン
項目 ファクタリング
(買取型)
ビジネスローン
(無担保ビジネスローン)
調達の仕組み 売掛債権の売却 借り入れ
審査対象 売掛先の信用力 借入企業の信用力
返済義務 なし(売掛債権を売却) あり
調達スピード 比較的速い 比較的速い
コスト 手数料 利息

どちらが向くのかは、目的や状況などによります。売掛金があって、短期的な資金調達であればファクタリングが向くといえそうですし、長期的な資金や幅広い事業計画のための資金であるならビジネスローンが適しているといえそうです。また、売掛金がない場合は、そもそもファクタリングは利用できません。

ファクタリングの注意点

ファクタリングを利用する際には、下記のような点に注意する必要があります。

  • 売掛金の金額や取引先の信用力などで手数料が異なるため、事前に見積もりなどで確認をしたうえで判断をしましょう。
  • 取引先の信用力が低い場合は、利用できなかったり、手数料が高くなったりする可能性があります。検討する際には、念のため取引先の信用情報なども確認しておきましょう。
  • 取引先が債権譲渡を禁止している場合もあるようです。あらかじめ確認しておくと、後のトラブルを避けられます。
  • 売掛金が回収できなかった時に利用企業に負担が及ばない「償還請求権なし」という契約になっていることを、必ずチェックしましょう。
  • 金融庁によると、ファクタリング会社を装ったヤミ金融業者も存在するようです。業者の実績や口コミなどを調べ、信頼できるファクタリング会社を選びましょう。

これらの注意点を踏まえた上で、適切に利用するようにしましょう。

【参考リンク】

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2024年12月06日

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