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第1083回

合同会社とは?個人事業主の法人化の選択肢を解説!

個人事業主として活動しています。売上が大きくなってきたので法人化を検討しています。合同会社は株式会社よりも設立時のコストが安く済むと聞きましたが、株式会社とは何が違うのですか?(40代 個人事業主)
合同会社とは、日本で設立できる会社形態のうちのひとつです。設立コストが安く、経営の自由度が高く、法人の節税メリットも受けることができることなどから、個人事業主が法人化する際の選択肢として浸透しつつあります。合同会社の特徴をよく理解した上で会社形態を検討しましょう。

合同会社と株式会社の違い

個人事業主が会社を設立し、事業を引き継ぐことを法人化(法人成り)といいます。法人化には、社会的信用度が高くなる、法人専用のビジネスローンを利用できるなど資金調達がしやすくなることや、個人ではできない節税対策が可能になることなどのメリットがあります。

現在、日本で設立できる会社形態には「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」の4種類があります。その中で最も多いのは株式会社ですが、コストや経営の自由度の面から合同会社を選択するケースもあります。

株式会社は、株式を発行して集めた資金を元に経営を行う会社形態です。出資者である株主と会社の経営者は基本的に分離されています。株主による集会である株主総会により経営者を選出します(出資者と経営者は同一人物でも構いません)。

一方、合同会社は、出資者=会社の経営者となる会社形態です。出資者のことを社員と呼び(従業員という意味ではありません)、出資者(社員)が経営も行います。合同会社と株式会社の主な違いは図表の通りです。

合同会社と株式会社の主な違い
  合同会社 株式会社
意思決定 社員の過半数 株主総会
所有と経営 同一 分離
役員の任期 任期なし 最長10年
監査役 不要 1人以上
決算公告 不要 必要
定款 作成は必要だが認証は不要 認証が必要
利益配分 定款で自由に規定できる 出資比率に応じる
設立費用 10万円程度〜 25万円程度〜

合同会社のメリットとデメリット

合同会社の大きなメリットは、株式会社と比べて設立費用が安く済むことです。会社設立時にかかる登録免許税は、株式会社が最低15万円なのに対して合同会社は最低6万円です。また、定款認証には資本金の額に応じて3〜5万円必要ですが、合同会社は認証が不要のため、この費用もかかりません。

経営の自由度が高く、スピーディーに意思決定できる点も合同会社の利点です。合同会社は定款で社員の役割や利益の配分などを自由に規定することができます。また、出資者(社員)=経営者であるため、迅速な意思決定が可能です。

一方、株式会社よりも知名度が低く社会的信用度が劣るという点は、合同会社のデメリットであると言えます。また、出資者(社員)同士の意見が対立すると意思決定が困難になるという点にも注意が必要です。合同会社は、出資比率に関わらず、1人1票の議決権を持っています。そのため、出資者(社員)同士の意見が対立した際の影響が大きくなる場合があります。トラブルを未然に防ぐためにも、「出資額に応じて議決権を持ち、過半数の同意で意思決定ができる」などの旨をあらかじめ定款に定めておくと良いでしょう。

さらに、合同会社は株式会社と比べて資金調達の方法が限られるという面もあります。合同会社は株式による資金調達ができないため、国や自治体の補助金や助成金、金融機関からの借り入れが主な手段になります。

合同会社はコスト面や経営の自由度から見て、株式会社よりも手軽に設立することができます。初めて会社を設立する場合や小規模な事業の経営、個人客を対象とする事業の場合などに適した会社形態です。また、手続きや費用は必要ですが、会社設立後に会社形態を変更することも可能です。事業の状況や今後の事業計画などと照らしながら、最適な方法を検討しましょう。

【参考リンク】

私が書きました

宮野 真弓 (みやの まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。

※執筆日:2024年06月06日