第1053回
事業者専用のカードローンとは?
- 個人事業主をしています。コロナ禍で減っていた売上が回復してきた一方で、原材料が高騰していて、収支のタイミングによっては運転資金が不足するのではないかと心配です。適切な資金調達の方法を教えてください。(41歳 個人事業主)
- 資金調達にはいくつかの方法がありますが、緊急性が高い場合にはビジネスローンの利用を検討してみましょう。いざというときに備えてカードローンタイプの商品を準備しておけば、急な資金繰りにも対応可能です。
ビジネスローンとは
個人向けのフリーローンやカードローンの多くは、事業性資金としての利用が認められていません。法人や個人事業主の事業性資金の借り入れは、ビジネスローンなどを検討することになります。ビジネスローンの主な資金使途は、運転資金(つなぎ資金など)、設備投資などで、銀行などの金融機関や消費者金融、信販会社などが提供しています。
ビジネスローンは銀行融資と比べて、一般的に金利は高く借入金額は少額ですが、スピーディーな借り入れに対応しています。大口の資金を計画的に借り入れたい場合には、しっかりと事前準備をしてより有利な銀行融資を検討すべきですが、緊急性の高い一時的な資金調達などの場合はビジネスローンを検討してみるといいでしょう。
いざというときに頼れる事業者専用カードローン
ビジネスローンには大きく分けて、極度貸付のカードローンタイプと、証書貸付のフリーローンタイプの2種類があります。極度貸付とは、契約時に定めた利用限度額の範囲内であれば何度でも借り入れが可能な方式です。証書貸付とは、契約時に定めた金額を一度だけ借り入れる方式です。追加の借り入れをするためには、再度申込みをし、審査を受けなければなりません。
事業を行う上で、売上や利益を増やすことはもちろんですが、現金の収支(キャッシュフロー)を安定させ、運転資金に余裕を持つことも重要です。すぐに利用する予定がなくても、あらかじめ事業者専用カードローンを用意しておけば一時的な資金繰りのショートなどにも対応可能です。
ただし、事業者専用カードローンを利用する際には注意も必要です。まず、資金使途が事業性資金に限られている場合は、生活資金など別の用途に利用することはできません。また、金利が高めに設定される傾向にあるため、借入金額は最小限に、返済は短期間で行うようにしましょう。ビジネスローンの借り入れが、他の金融機関から融資を受ける際の審査に影響を及ぼす場合もありますので、返済遅延などが起こらないように計画的に利用しましょう。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。
大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。
※執筆日:2023年11月10日