第1017回
事業資金はビジネスローンで。自営業の方はローン利用目的の公私を明確に!
- 個人事業主をしています。生活費のための口座を仕事にも使っていたら資金の管理が難しくなってしまいました。また、今後の事業展開を考えて資金調達を検討しています。個人事業主としてのお金の管理方法や借り入れについて教えてください。(35歳 会社員)
- 健全かつ円滑な経営のためにも、事業用とプライベート用の口座は分けて管理しましょう。また、個人向けのローン商品の多くは事業性資金としての利用が認められていないため、資金が必要な際はビジネスローンなどの利用を検討しましょう。
事業用口座とプライベート用口座を分けるメリット
事業が小規模な場合や事業を始めて間もない個人事業主の中には、事業用の口座を作らず、生活費のための口座で資金の管理をしている人を見受けます。しかし、それでは生活費と事業費が混ざってしまい、帳簿付けの手間が増えてしまいます。また、口座残高のうちいくらが事業用の資金なのかがわかりにくく、資金繰りも難しくなります。
事業用口座を開設すれば、事業に関する資金の流れや収支が明確になり、帳簿管理や資金繰りがしやすくなります。税理士などに相談する場合にも、事業に関する資金の流れだけがまとまっている方がスムーズです。また、事業用口座を開設する場合、金融機関によっては口座名に屋号を入れることができます。屋号付きの口座を開設することで、顧客や取引先からの信頼が得やすくなることも考えられます。
事業用口座の開設は任意ですが、公私混同を避け、健全かつ円滑に事業を行うためにも、事業用口座を開設し分別管理を行うようにしましょう。
事業資金の借り入れはビジネスローンで
事業をするには資金が必要です。できるだけ自己資金で賄うことが理想ですが、借り入れが必要になる場合もあります。フリーローンやカードローンなど個人向けのローン商品の大半は、事業性資金としての利用が認められていません。借り入れをする際には、事業者向けの商品を検討することになります。
事業資金の調達方法には、日本政策金融公庫からの借り入れ、地方自治体からの借り入れ、金融機関の融資、ビジネスローン、助成金や補助金などがあります。
日本政策金融公庫の融資は、幅広い資金使途に対応し、固定金利で比較的低金利な点が利点です。金融機関のプロパー融資は、審査は厳しめですがケースによっては大口融資も可能になります。ビジネスローンは必要書類が少なく、審査がスピーディーで急な資金にも対応可能な点が特徴です。金融機関により商品は様々ですが、無担保・無保証で借り入れ可能な商品が多く、その分、金利は高めで、借入金額の上限は1,000万円程度です。
資金調達の方法にはそれぞれメリット、デメリットがあります。それらを理解した上で、場面に合わせて使い分ける、場合によっては併用することも考えましょう。資金が必要になったときに慌てずに済むように、日頃から融資についての情報収集をしておき、借り入れの際は目的に適したものや、できるだけ返済条件等が有利なものを選ぶことを心がけましょう。加えて、事業用資金の流れを把握しておくことも大切です。
私が書きました
ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。
大学在学中にFP資格を取得。証券会社、銀行、独立系FP会社を経て独立。忙しくても無理なく実践できるメリハリ家計を提案するママFP。 ライフプラン全般の相談業務や家計簿診断、ライフプランセミナー講師、FP資格取得講座の講師として活動中。 学校での金銭教育にも注力している。
※執筆日:2023年03月07日