第599回
2014年冬のボーナスは大幅増加!?自分の家計にあったお金の使い方を考えよう
- 今年のボーナスはちょっと良くなり、使いたくてうずうずしています。ですが、年初に誓った「脱貯蓄ゼロ」の目標が果たせておらず、カードローン残債も20万~30万円ほどあります。ボーナスはそっくり貯蓄にまわすか返済から優先すべきか、効率的なボーナスの使い方はどうするべきでしょうか?(Sさん東京都35歳会社員)
- せっかくのボーナスを機に家計改善を実践してみてはいかがでしょうか。まず、やらないといけないことや、使っていい分なども見えてきます。
ボーナスアップは手放しで喜べない?
11月中旬、7~9月期の国内総生産(GDP)速報値がまさかの▲1.6%と発表され、安倍内閣が解散宣言を出すことになったのと前後して、経団連から今年の大手企業のボーナス額が発表されました。平均は89万3,538円で前年比5.78%増。2年連続増加で、2008年の過去最高額に準ずるほどで、GDPショックと相反する明るいニュースとなりました。これから訪れるクリスマス商戦で街がにぎわう期待もあります。
Sさんもボーナスが上がったようで何よりです。ですが、そもそも今回のボーナスアップは手放しで喜べるものではないのです。なぜなら、足元の景気を反映したものではないからです。ボーナス増加の理由として、大手メーカーにとっては急激な円安が追い風になったと言われていますが、そもそも大企業の場合、春闘時にその年の年間賞与が決定していることが多いからです。
消費増税前の駆け込み需要などで一時的に業績が良かった分を、ベースアップではなくボーナスで還元したことからアップしたとも見られていて、一時的なものと捉えることもできるのです。そのため、直近の会社の業績がボーナスに反映されやすい中小企業では、消費増税の反動による景気鈍化の影響を受け、ボーナスは良くて横ばいと見られています。
Sさんが油断して財布のヒモを緩め、家計見直しを先送りすれば、「脱貯蓄ゼロ」はいつまでも実現できません。このボーナスをステップに、未来につながる家計づくりの一歩を踏み出してみてはどうでしょう。
まずは生活予備費と特別支出をキープ
現在貯蓄ゼロでカードローン残債ありのSさんが、家計改善の最初に行うべきは、「生活予備費」作りに着手することと、家計コントロールを甘くしているであろう「特別支出」のためのお金をキープすることです。
生活予備費は、生活費の3~6カ月分を手元に置くことで、何かあったときに備える家計の防波堤を築くのです。とはいえ、急に貯めるのは難しいでしょうから、ボーナスのたびに1ヵ月分貯めていって、最終的に「常時3ヵ月分」を実現しましょう。
特別支出は、毎月の家計で想定されていない特別な支出を指します。例えば次のようなものです。
・冠婚葬祭費
・年払いで大きめの支出(保険料、会費等)
・車がある人は車検や自動車保険等
・持家の人は固定資産税等
・不定期な支出で大きめのもの(講座や趣味の支払いでまとめ払い)
・家電の等の買換え資金
・大きめのレジャー費等
次のボーナスが入るまでのこの先半年間にかかる特別支出を、ざっと書き出してみてください。想定外の分も加味して少し多めに見積もるといいでしょう。これらの分はしっかりキープして、毎月の家計とは別の口座などに入れておき、必要な時に引き出すように口座を分けるといいでしょう。
毎回、ボーナスからこの特別支出分を取り分ける習慣を付ければ、新たなカードローンを借りずに家計が運営できるはずです。
ローン管理と長期の目的別貯蓄も
今回のボーナス分を生活予備費の一部と特別支出として取り分けて、それでも残る場合は次の段階に進めます。それは、残ったお金でカードローン残債等を少しでも減らすことと、長期の目的別貯蓄を行うことです。
カードローンを複数利用している人は、できるだけ金利が高いものから繰上返済するようにしましょう。一気に返そうと無理をせず、少しづつ減らすようにしましょう。大事なことは、カードローンなどの新たな借り入れを、計画なく実施しないということです。
長期の目的別貯蓄は、家族の状況でも変わってきます。教育資金や住宅の頭金、リフォーム資金、車の買換え資金、老後資金といったものが挙げられます。これを貯められるようになるのが最終形ですが、余力がない場合は最初から無理をしすぎないようにしましょう。それよりも今回は、生活予備費と特別支出、ローン管理を優先させましょう。とにかく初めの一歩を踏み出すことが大事です。
この冬から実践して、年内の貯蓄ゼロからの脱却を図りましょう。貯蓄分を差し引いてさらに残りがあれば、「使う」こともできます。一気に貯蓄に傾きすぎるとストレスが爆発しそうなら、ちょっとガス抜きなどもしつつ、この冬のボーナスから家計を変えてみてください。