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第557回

今年も確定申告の季節がやってきた!確定申告は必要?還付申告の可能性は?

新聞やネットなどでも確定申告の記事が増えてきました。自営業の方は確定申告が必要なのはわかりますが、会社員の私にも関係があるのでしょうか?(Nさん29歳、会社員)
会社員でも確定申告が必要な場合はあります。しっかり申告をして還付申告などを受けたいものです。

どんなときに確定申告は必要?

所得税の確定申告の季節がやってきました。この時期は、マネー誌や新聞、ネットなどで確定申告の記事が溢れています。

まずは、どんなときに確定申告が必要なのか、整理してみましょう。

確定申告をする必要があるのは次のような方です。

<自営業者、個人事業主など>

各種の所得から控除される分を引いた「課税所得」に税金がかかる方は確定申告が必要です。

<給与所得者>

毎月の給与から天引きされ、年末に正確な所得税額を算出して「年末調整」が行われます。それでも、確定申告を行う必要がある場合があります。次に挙げる人は、給与所得者であっても確定申告が必要です。

1.給与が2,000万円を超える

2.給与以外の所得(収入から経費を引いた分)が20万円を超える

3.給与を2か所以上から受けていて、年末調整されなかった給与とその他の所得の合計が20万円を超える

<株式譲渡損失の損益通算や繰越控除の特例を受ける人>

上場株式等の売却損が出た場合、確定申告を行うことで、その年分の上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税に限る)と損益通算ができます。

また、損益通算をしても控除しきれない損失分は、翌年以降3年間にわたり、株式の譲渡所得と配当所得から繰越控除することができます。ただし、毎年確定申告が必要です。

還付のために確定申告した方がいいのは?

また、給与等から源泉徴収された所得税が多すぎた場合には、確定申告をすることで還付を受けることができます。このことを「還付申告」と呼びます。

次のような場合に還付申告を行うことができます。

1.多額の医療費がかかったとき

医療費が年間で10万円(年収が200万円未満の人は5%の金額)を超えた場合は、超えた分を所得から控除できます。家族全員の医療費を合算できます。

2.寄付をしたとき

国や地方自治体、特定の公益法人などに寄付をしたときに、2,000円を引いた分が控除されます。

3.災害や盗難に遭った場合

災害や盗難などで損害を受けた場合に、一定額の所得控除を受けることができます。

4.住宅ローンを組んでマイホームを購入

住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、住宅ローン控除を受けることができます。自営業者なら毎年、会社員なら初年度に確定申告が必要。

5.年の途中で退職

年の途中で退職をして、年末調整を受けずに所得税が納め過ぎになっているときは、確定申告をすることで還付が受けられる可能性があります。

6.一定額以上の特定支出

会社員の必要経費と認められた「特定支出」の合計額が給与所得控除額の2分の1(最高125万円)を超えた場合、確定申告をすることで、超えた分を控除することができます。

生命保険料控除や扶養控除などは会社員であれば年末調整で受けているはずですが、もしも何かの理由で手続きをしていなかった場合などは、やはり確定申告で還付を受けることができます。

2014年は3月17日まで

今年の確定申告書の受付は、曜日の関係もあって2月17日(月)から3月17日(月)まで。納めすぎた税金を取り戻す還付申告であれば2月17日以前でも可能です。還付申告を忘れていたなど行っていなかった場合でも、5年間は遡ることができます。

なお、確定申告書の作成は、国税庁サイト内の「確定申告書等作成コーナー」が便利です。画面の案内に従って入力するだけで、税額などが自動計算され、申告書も作成できます。作成した申告書は、次のいずれかの方法で申告することができます。

・プリントアウトして管轄の税務署へ郵送する

・プリントアウトして管轄の税務署へ持参する

・e‐Tax(電子申告)によりネットで申告

e-Taxとはインターネットで国税に関する申告や納税、申請・届出などの手続ができる便利なシステムですが、利用しているPC環境の確認をしたり、電子証明書を取る、ICカードリーダライタを購入するなど、事前の準備や手続き等も必要です。

所得税を納めないとどうなる?

もしも所得税を納めずにいた場合はどうなるでしょう?

還付申告なら取り戻すものなのでいいですが、納税を伴う確定申告を放置してしまった場合などは、本来納めるべき税金のほかに延滞金が加算されます。最悪の場合は、給与・預貯金・不動産等の差押えなどが行われることもあります。

会社員だと所得税は給与から天引きされているので、滞納が発生しにくいのですが、たとえば、貯蓄型の保険が満期になって、満期保険金から保険料を引いた差益が50万円を超えているとその半分を所得として加算しなければならないのに、この確定申告を忘れる人もいるようです。

自営業・自由業であれば、確定申告をしなければ納税したことになりません。そのため、「所得証明」も出ませんので、ローンを借りる時や各種手続きで所得証明を求められたときには困ることになります。所得証明(納税証明)がなければローンの利用はできません。

税金未払いによる延滞金の支払、ローンの利用時に審査へ悪影響がでることを避けるためにも、申告漏れや滞納がないようにしたいものですね。

私が書きました

豊田 眞弓 (とよだ まゆみ)

ファイナンシャル・プランナー、シニアリスクコンサルタント。

20代前半より経営誌や経済誌、女性誌と広く手がけるライターとして個人事業を展開。1995年より独立系FPとして、雑誌やムック、新聞、サイトへの寄稿・監修、相談業務、講師などで活躍。「今日からの お金持ちレシピ」(明日香出版)をはじめ共著本など多数。

※執筆日:2014年02月04日