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第424回

ローンを借りる際には保証人が必要?

起業を考えていて、事業資金の一部を金融機関から借りようと思ってます。保証人を頼める人を探した方がいいでしょうか?(J・Mさん 38歳)
事業用資金も含めてお金を借りるときや賃貸住宅を借りるとき、入社するときなど、日本には、古くから「保証人」を立てる習慣があります。最近は、保証機関(信用保証協会や保証会社)が保証人の代わりをしてくれる制度が浸透しつつあり、保証人探しで苦労するケースは少なくなっています。とはいえ、頼んだり頼まれたりすることもないとは言えないので、保証人についての基本的な知識と、ローンにおける保証の今について知っておきましょう。

保証人と連帯保証人は似て非なるもの

保証人には、単なる「保証人」と「連帯保証人」の2種類あります。どちらも、債務者(お金を借りた本人)が債務を履行しない(返済しない)場合に、代わりに返済しなければいけない点は同じですが、両者には大きな違いがあります。それは、保証人には「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」が認められているのに対して、連帯保証人には認められていないことです。

催告の抗弁権とは、債務者に十分な支払い請求をしないで保証人に返済を請求してきたとき、債務者に支払いを請求するよう返済を拒否できる権利です。もう1つの検索の抗弁権とは、債務者に返済に充てられる財産があるときは、その財産から支払いを請求するよう返済を拒否できる権利です。これに対して、連帯保証人はこの2つの権利がないため、債務者が1回でも返済を滞らせたら、金融機関からいきなり返済を求められても文句は言えません。つまり、債務者と同等の扱いになるということ。こういった理由から、金融機関がお金を貸すときに要求する保証人は連帯保証人です。

連帯保証人が必要なケースは減っている

では、最近の保証事情について、金額の大きい事業資金と住宅ローンで触れておきましょう。まず、J・Mさんが借りようと考えていらっしゃる事業資金(ビジネスローン)から。事業資金を借りる方法は主に3つです。1、銀行などから直接借りる、2、日本政策金融公庫の融資を受ける、3、保証機関の保証が得られる融資を利用することです。連帯保証人は、1は原則として必要、2は一部の融資を除いて必要、3は保証機関に保証料を払うことで債務保証をしてもらうので第三者の連帯保証人は不要(法人代表者の連帯保証は必要)です。

中小・個人企業が倒産すると、連帯保証人を引き受けている家族や友人、知人は、返済の肩代わりを強いられることになります。東日本大震災の影響で企業が破産し、それに伴って連帯保証人への返済請求が頻発する恐れがあります。そのため、金融庁は金融機関が融資する際の連帯保証人に関する監督指針を改正する方針を固めました。ポイントは、家族や友人、知人で、直接、経営に関与していない第三者による個人連帯保証を原則廃止するという点です。第三者から積極的な申し出があっても、意思を署名文書で確認するよう金融機関に義務付けるそうです。過去の融資には適用されませんが、新しい指針に準じて連帯保証人への請求を配慮するよう促す方針です。

次に、住宅ローンについて。現在、住宅ローンは、連帯保証人を立てる代わりに保証会社に保証料を払って債務保証をしてもらうのが一般的ですから、連帯保証人を探したり説得したりするわずらわしさからは解放されています。ただし、保証会社から審査を受けた結果、断られたり、連帯保証人を要求されることもあります。あるいは、保証会社を使用しないため、保証料そのものがかからない金融機関もあります。

【参考リンク】

なお、保証機関に保証してもらって融資を受け、返済を滞らせた場合は保証機関が代わりに金融機関に返済してくれますが、返済そのものが免除されるわけではありません。保証機関への返済義務は残ります。
 ちなみに、イー・ローンに登録されているローンは、どの種類も連帯保証人不要か、保証機関による保証で、連帯保証人が必要なケースはビジネスローンを借りる際に法人代表者の連帯保証人が必要な程度です。

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2011年07月01日