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第322回

景気底打ちでも厳しい生活…どうする家計防衛!?

ここのところ、株価は上がっていますし、景気が回復してきたようなニュースも耳にします。でも、わが家にはあまり関係ない様子。今後、家計はどう管理していけばいいでしょう?(40代 女性 パート勤務)
確かに、株価は3月半ば頃から上昇傾向にあり、政府は「景気底打ち」を宣言するなど、景気回復のきざしが見えてきたような気配がうかがえます。ただ、先行きは相変わらず不透明で、厳しいやりくりを求められる状況はしばらく続きそうです。こんな時期の家計防衛術を考えてみましょう。

景気は底を打ったというけれど……

政府は、6月の月例経済報告で、生産・輸出の持ち直しを受けて「景気底打ち」を宣言しました。 2008年秋のリーマンショックで受けた深刻な経済打撃は、約半年で最悪期を脱したと判断されたことになります。 とはいえ、リーマンショックに端を発する不況は、私たちの生活に暗い影を落としています。

総務省の家計調査(2008年平均速報)によると、2人以上の勤労世帯の可処分所得に占める住宅ローンの割合は20.5%と、 1979年の集計開始以来の最高値を示し、住宅ローンが重くのしかかっている様子がうかがえます。 また、住宅金融支援機構によると、2008年度に競売にかけられた物件は前年度より35%増でした。 住宅ローン返済に行き詰まってマイホームを競売で手放さざるを得ない人も増えているようです。 夏のボーナスの減少をきっかけに、物件の差し押さえが増える可能性は大きいでしょう。

家計防衛5つのポイント

雇用情勢の改善による収入増は期待薄の現状では、個々の家計のやりくりは、しばらく厳しい状況が続くと思われます。 そんな時期に、家計を防衛するポイントを5つあげてみました。


ポイント1 家計収支をきちんと把握する

家計管理の基本は、まず、お金の出入りを把握すること。 家計簿をつける、袋分けをするなど、自分に合った方法を見つけて、ただちに実行してください。 そして、すでに実行している人もこれからの人も、使途不明金や無駄な支出を洗い出し、 減らせる支出は「断固減らす!」覚悟でやりくりを。その一方、現在の雇用環境では難しいかもしれませんが、一家全体で収入を増やすようにしましょう。


ポイント2 貯蓄は手取り月収の1割以上は維持

本来であれば、毎月の貯蓄は手取り月収の2割以上はしたいものですが、減収で難しいかもしれません。その場合でも1割は維持できるように心がけましょう。


ポイント3 保険と住宅ローンは定期的に見直す

保険料と住宅ローンを節約できれば、長く払う固定費の削減効果が期待できます。 保険も住宅ローンも競争が激しい分野ですから、3~4年たつと、契約時より条件のよい商品に出会える可能性が高いのです。 定期的に見直すようにしましょう。


ポイント4 車を手放すことを検討する

車を持っていて家計に余裕がなくなった家庭は、車を手放すことも検討しましょう。 あれば便利に決まっていますが、車にかかるお金はあなどれません。


ポイント5 お金を借りるときは慎重に

住宅ローンを借りる、その他のローンを借りるときは、返済計画に無理がないかを十分に検討してから実行しましょう。 「何とかなるだろう」という安易な借り入れは禁物です。 すでに住宅ローンを借りていて、返済が苦しい家庭は、行き詰まる前に金融機関に相談しましょう。

私が書きました

小川 千尋 (おがわ ちひろ)

ファイナンシャル・プランナー。

1994年ファイナンシャル・プランナー資格取得。資格取得後、以前から携わっていた出版物の編集・執筆の経験を活かし、独立系ファイナンシャル・プランナーとして、マネー誌や一般誌、新聞、ウエブサイトなどのマネー記事の編集・執筆・監修などの執筆関連業務および個人のライフプランなどの相談業務、セミナー講師として活動。

※執筆日:2009年06月25日